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第二章

こってりの後はあっさりよね?

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 その日の日暮れ、男達に失礼ながらちょっと気持ち悪い視線を向けられながら、私達は城塞を後にした。

 もう一泊勧めらたけど、そうするとなし崩し的に滞在をどんどん延ばされる気配があったからね。

 城が見えなくなった辺りで今夜の野営の支度を始める。

 「悪い……、けど今夜のめしは何かさっぱりしたモンにしてくれないか? 無理そうなら良いけど……」
 早速食事の支度に取り掛かる私に、ロイスが注文をつけた。

 「散々美味そうなにんにくの匂いの中に居て、最初はあの飯も美味そうに見えてたし、実際味見して美味かったけど、流石にあの量料理してたらもう今日はこってりしたモン見たくねぇよ……」
 「――確かに。俺も普段はああいうメニューを好むが、自分はそんなに量を食ってないのに胸焼けしそうな気分だからな」

 うん、まぁそれは私も同感。
 だからそもそもこってり飯を作るつもりはなかったんだけど。

 「チキンライスに使った出汁、少し余ったからこっそり持って帰ってきたからさ。今夜はかきたま雪見うどんだよ」

 丸鶏の出汁に大根おろしと薬味に生姜のすりおろしを少々。
 溶き卵をそろっと入れてかきたまにして、胃にも優しくあっさり、でもしっかりコクのある旨味たっぷりのあったかご飯。
 ただしミルフィちゃんの分だけは生姜はマジに控えめで。

 「おお、あったまる~!」
 「大根おろしが辛くない! 生姜はちょっとピリ辛だけど、卵が相殺してくれて程よいアクセントの範囲にちゃんと収まってて美味い!」
 「うどんにしてはこってりめの出汁だが、これはこれで……。大根おろしと生姜のおかげでちゃんとあっさりしてるのが凄いな」

 ふふふ、好評の様ですね。

 「近くの村までは、あの城塞から日帰りでお使いに出られる距離らしいが、あくまで小さな農村だそうだ。食材の買い付けは出来るかもしれんが、あまり儲けの期待できる営業は出来そうにないな」

 「その前に商業ギルドの支部も期待できないだろ。レストが居てくれるとはいえ、わざわざトラブルの中に突っ込んでく真似はしたくねぇよ」

 さて、食後は兵士さんたちから入手した周辺情報の整理と、今後の進路の検討会です。
 王都はあくまで最終目的地ですからね。

 路銀を稼ぐためにも、大幅に方向をずれるのでなければ寄り道は必須の旅なんで。

 「ギルド支部が期待できる程度の規模の街までは軍の馬車で三日だそうだ」
 「なら、私達は四、五日見た方がいいね」

 ウチのクロエも優秀な馬だけど、流石に軍馬の馬力には敵わない。
 荷物もそこそこ重いしね。
 軍の馬車より日数かかるのは確実だ。

 「次はどんな街かなー?」
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