屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜

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第二章

打ち上げパーティー

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 「それじゃ、お疲れさまでした!」
 「「おう!」」
 「「「「かんぱーい!」」」」

 一日の営業を終えた私達は、菜飯軒にて烏龍茶の入ったジョッキで乾杯していた。
 いわゆる、打ち上げパーティーである。

 テーブルには大皿入りの主菜が数品と、取り分け用の皿が人数分。
 パーティー仕様の体の中華料理が並ぶ。

 八宝菜やきくらげと卵と豚肉の炒めもの、酢豚に肉団子、青椒肉絲。
 色とりどりの料理がそれぞれ食欲をそそる匂いをさせている。

 「それじゃあさっそく、いただきまーす!」
 乾杯が済むと、ロイスがまっ先に取り箸を手にして、まずは肉団子を自分の皿に入れた。
 取り箸から自分のカトラリーに持ち替え、すかさず肉団子に齧りつく。

 「おお、なんだこのソース。濃厚でウマ……。テリヤキのソースに似てるけど、味はかなり違うよな」

 その隣でレストが八宝菜を取り分けている。
 レストは先日食べたあんかけ焼きそばが気に入ったようで、八宝菜を美味しそうに食べている。
 「野菜がこんなに美味いとは、初めて思ったな。所詮肉の添え物だと思っていた常識を打ち砕かれた……」

 その向かいに座るミルフィちゃんは、黙々と青椒肉絲を食べている。

 「あたしも。ピーマンがこんなに美味しいなんて……、こないだのお姉ちゃんの串カツピーマンも美味しかったけど、これならピーマンいくらでも食べれるよ!」

 うん。串カツも工夫はしたけどね。
 子供が苦手な野菜ランキング上位の常連、ピーマンを食べるなら、青椒肉絲のが美味しく食べられるだろうね。
 前世合わせても数十年の経験しかない私のアレンジが、千年単位の歴史を誇る中華料理に勝てるはずもない。

 私も豚肉と卵の甘みを噛み締めつつ、きくらげの食感の楽しい炒めものに舌鼓を打つ。

 「しかし、こんだけ美味い料理がこれだけ安く食べられる町で、俺たち随分健闘したよな」

 そう、売上は悪くなかった。
 特にテイクアウトではなくその場で飲食する営業形態の分、回転率は当たり前だけどこれまでより悪くなる。
 それを加味せずとも利率としてはこれまでと変わらない売上を叩き出せたのは、私にとってかなり自信に繋がった。

 「この勢いのまま王都に乗り込みたいよな」
 「まぁ、な。しかし王都まではまだまだ距離があるぞ?」
 「あー、そうだよな。あのババア共のせいでそんな気しなくなっちまったけど、まだ山越えただけだったんだよな……」
 「でもー、その分色んな美味しいものを食べられるかもしれないよね?」
 「――そうだな」

 あの、ギルド員の気になる噂話の事などすっかり忘れたまま、私達はわいわい料理を摘みつつ語り明かすのだった。
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