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第二章

食事処 菜飯軒

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 「スイーツも気になるけどよ、俺、今はガッツリしたモン食いたいかも……」
 「同感だな」

 メニューを眺めた男性陣の意見は揃って食事処一択だった。
 点心屋にも饅頭などの甘味だけでなく、肉まんとかシュウマイとか、食事になりそうな物もあるんだけどね。

 「まぁ、夕飯だしね。分かった、食事処にしようか」

 そう決めて宿屋を出る。

 「すんませーん、四人、お願いしまーす」
 「あいよ、いらっしゃい! ……向かいの宿屋の客かい?」
 「はい、そうです。今日着いたばかりで」
 「そうかい、ようこそ我が菜飯軒さいはんけんへ。カウンター横のテーブルが空いてるよ」
 「はーい、ありがとうございます」

 テーブルに一つ置かれたメニューを改めて確認。
 うん、宿で見せてもらったメニュー、漏れも終売商品も無い。

 「注文、良いですか?」
 「あいよ、ちょい待ち。……はい、お待たせしました、お伺いします」

 「じゃ、俺から。炒飯とこの……餃子? っての、あ、肉のやつね、焼いたので」
 「では次は俺だ。俺は餡かけ焼きそば大盛りで、スープをつけてくれ」
 「じゃ、次あたし! えっとね、ミルフィは……中華丼とアンニンドウフ! あ、デザートは食後でお願いしまーす!」
 「最後は私で。ラーメンと焼き餃子、野菜のでお願いします」

 「あいよ、炒飯ひとつ、焼き餃子が肉と野菜一皿ずつ、餡かけ焼きそばひとつに中華丼ひとつ、セットスープが一つ、食後にアンニンドウフ一つ、以上で間違いないかい?」
 「はい、それでお願いします」
 「じゃ、ちょいと待ってておくれ」
 「はーい!」

 注文を終えてしばらくすると。

 「あ、すげー良い匂いしてきた。これにんにくか? それ以外にも香味野菜とかスパイスの香りもする。うわー、空きっ腹にこの匂い、たまんねー!」
 うんうん、中華料理ってそういうもの。
 問題は――、日本だとこういう町中華って、当たり外れが大きいのよね……。
 しかも店の外観や内装だけではその判断がつきにくいってのが難点。

 明らかに不潔な店は除いて、多少古臭くてもすごく美味しい店もあれば、新しくてきれいでも不味い店ってのもあるんだ、これが。
 私、一人で地方の個人店食べ歩く某サラリーマンじゃないから……、そういうカンとか働かないんだけど。

 「はい、お待ち!」

 お、早速一品目が運ばれてきた。

 「焼き餃子、こっちが肉でこっちが野菜ね。そこの醤油と、好みで酢とラー油入れてお召し上がりくださいね!」

 楕円のお皿に醤油ポケットの付いた餃子皿に、小ぶりな羽付き餃子が7つ乗っている。
 焦げ目が実に美味しそう。

 「じゃ、さっそく。いただきまーす!」
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