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第二章
山姥のおもてなし飯
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下拵えを済ませてしまえば、あとはひたすら待つだけ。
たまに鍋をかき混ぜたりとかそういう手間は要るけど、昨夜のようにやる事が盛り沢山、という訳ではない。
だから、ロイスと交代で休憩をとりつつ準備を進めていく。
「……すまん、料理では役立たずで。その代わり力仕事があれば俺にやらせてくれ。ロイスでも持てそうなものでも、今はロイスの体力は料理に使って貰わないとだからな」
「私、料理も力仕事もお手伝い出来ないけど、でも、休んだ後起こすのは私がやる! 責任持って時間通りおこすから、安心して寝て!」
レストとミルフィちゃんのサポートもあって、何とか下準備も終わった。
後は本格的に夕食の支度を始めるだけ。
「……ババァ共のメシが毒物でなければな。もしこれで腹壊して俺らが料理出来なくなれば奴らの不戦勝って事に――」
「ああん?」
「ひっ!」
「聞こえてるんだよ、小僧。見かけはババァでもまだ耳は衰えちゃいないんでね。
今から礼儀知らずの小僧を材料に山姥飯を作ってやっても良いのだぞ?
なにせこれから出す山姥のもてなし飯は、その後ワシラが獲物を美味しくいただくための料理だ、毒なんざ入れたらワシラが食えなくなるじゃろうが」
「ひいぃぃぃ!」
山姥姉妹に凄まれ、ロイスは涙目になる。
うん、口は災いの元だね。私はしっかりお口チャックしておこう。
「では、まずは末のワシからじゃ。メニューはぼたん鍋じゃよ」
……ん? 今何か妙なセリフが聞こえたような。
しかしやはり来たか、定番料理。
恐る恐る土鍋の中身を覗き込むロイス。
「ふん、心配するでない。ワシらは狐や狸とは違う。もてなし飯を木の葉や泥団子で化かすなどせんわ。内臓に泥やら木の葉やらが詰まった肉など食いとうないからのう?」
つまり、家畜に毒を盛るアホな飼い主は居ないように。
彼女たちもしっかり美味い飯を食わせて、より美味しく被害者をいただくのですね、分かります。
山姥が、鍋から取皿に具材とスープを取り分けてくれる。
確かに、美味しそうな匂い……。
まだ肌寒い季節な分余計に美味しそう。
……まずは薄く切られた猪肉からいただく。
「あ、美味しい。臭みもなくて脂がとろける……」
濃厚な旨味と脂の甘味。それにスープの旨味がマッチしていて、真剣に美味しい。
……やはり鍋のみの勝負にしなくて正解だった。
私の用意する鍋も負けてはいないと思うが、確実に勝ったとは到底思えない。
個人の嗜好次第、としか言えない美味しさ。
ぐ、悔しい……。
「では、次は五女のアタシだ」
と、自分が五女だと名乗る老婆が新たな土鍋を私達の前に置いた。
待て、まさか……
「その次は四女のワタシの鍋をご賞味いただこうか」
誰が誰やら、私達には見分けがつかないのだけど。
どうやら、そういう事……らしい。
くっ、品数勝負のはずが……、やられた!
たまに鍋をかき混ぜたりとかそういう手間は要るけど、昨夜のようにやる事が盛り沢山、という訳ではない。
だから、ロイスと交代で休憩をとりつつ準備を進めていく。
「……すまん、料理では役立たずで。その代わり力仕事があれば俺にやらせてくれ。ロイスでも持てそうなものでも、今はロイスの体力は料理に使って貰わないとだからな」
「私、料理も力仕事もお手伝い出来ないけど、でも、休んだ後起こすのは私がやる! 責任持って時間通りおこすから、安心して寝て!」
レストとミルフィちゃんのサポートもあって、何とか下準備も終わった。
後は本格的に夕食の支度を始めるだけ。
「……ババァ共のメシが毒物でなければな。もしこれで腹壊して俺らが料理出来なくなれば奴らの不戦勝って事に――」
「ああん?」
「ひっ!」
「聞こえてるんだよ、小僧。見かけはババァでもまだ耳は衰えちゃいないんでね。
今から礼儀知らずの小僧を材料に山姥飯を作ってやっても良いのだぞ?
なにせこれから出す山姥のもてなし飯は、その後ワシラが獲物を美味しくいただくための料理だ、毒なんざ入れたらワシラが食えなくなるじゃろうが」
「ひいぃぃぃ!」
山姥姉妹に凄まれ、ロイスは涙目になる。
うん、口は災いの元だね。私はしっかりお口チャックしておこう。
「では、まずは末のワシからじゃ。メニューはぼたん鍋じゃよ」
……ん? 今何か妙なセリフが聞こえたような。
しかしやはり来たか、定番料理。
恐る恐る土鍋の中身を覗き込むロイス。
「ふん、心配するでない。ワシらは狐や狸とは違う。もてなし飯を木の葉や泥団子で化かすなどせんわ。内臓に泥やら木の葉やらが詰まった肉など食いとうないからのう?」
つまり、家畜に毒を盛るアホな飼い主は居ないように。
彼女たちもしっかり美味い飯を食わせて、より美味しく被害者をいただくのですね、分かります。
山姥が、鍋から取皿に具材とスープを取り分けてくれる。
確かに、美味しそうな匂い……。
まだ肌寒い季節な分余計に美味しそう。
……まずは薄く切られた猪肉からいただく。
「あ、美味しい。臭みもなくて脂がとろける……」
濃厚な旨味と脂の甘味。それにスープの旨味がマッチしていて、真剣に美味しい。
……やはり鍋のみの勝負にしなくて正解だった。
私の用意する鍋も負けてはいないと思うが、確実に勝ったとは到底思えない。
個人の嗜好次第、としか言えない美味しさ。
ぐ、悔しい……。
「では、次は五女のアタシだ」
と、自分が五女だと名乗る老婆が新たな土鍋を私達の前に置いた。
待て、まさか……
「その次は四女のワタシの鍋をご賞味いただこうか」
誰が誰やら、私達には見分けがつかないのだけど。
どうやら、そういう事……らしい。
くっ、品数勝負のはずが……、やられた!
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