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第二章

山姥六姉妹。

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 何とも、揃ってコピペしたような老婆が六人も並ぶと壮観ですね。
 それも皆山姥顔なんです。
 一昔前の山姥ギャルが可愛く見える、本家本元の山姥です。

 お約束のようにナタやら出刃包丁やら構えてます。

 老婆の一人や二人ならともかく、六人も居てはレストも余裕なく、こめかみから頬を伝った汗がぽたりと地面へ落ちる。

 残りの五人はどうやって集まったんだと突っ込みたいが、今はそれどころじゃ……

 「いざ、尋常に勝負!」
 そのうちの一人が包丁突きつけ喚く。

 いや、ウチでまともに戦えるのレストだけなんだけどね?

 「お題はコレだよ!」
 そうして差し出されたのは……

 「何、それ」
 「見て分からんのかい? 物知らずな小娘だね!」
 「いや、それは分かるよ猪だって。そうじゃなくてお題ってどういう意味だって話……」
 「決まってるだろう、新鮮な猪肉を前にしてする事など唯一つ!」

 「……は?」
 「ふん、コイツを上手く料理した方の勝ちさね!」
 「はあぁ?」

 ナタやら包丁突きつけといて料理対決とか……普通思わんわ!

 「何だい、自信がないのかい?」
 「いや、料理対決で勝ったとしても、結局襲われるんじゃ……勝負し甲斐が無いっていうか……、する意味分かんないし」

 いや、確かに日本昔話の山姥って、道に迷った人を一晩泊めて、美味しい料理を食べさせてくれるからね。
 ……その後でよ~く研いだ刃物持って喰いに来るんだけど。

 「なら、誓約書を書いても良いぞ」

 相変わらず何故料理対決なのかの疑問は解決されないけど、レスト一人じゃ勝てないのは明白なので。
 仕方なく乗ることにする。

 「ちなみにレスト、あれの解体出来る?」
 「勿論だ」
 「じゃぁ、お願い」

 私は料理はできても動物をさばくのは……、魚を三枚におろすくらいなら出来てもね、猪解体とか無理だから。
 枝肉にしてもらわないとそもそも料理ができないし。

 そこだけ確認して、
 「……分かった。他のルールは? 時間とか、品数とか」

 「そうさね、今夜はもう遅いし、明日朝から調理をするとして……、時間は昼か夜かどちらにするかね。品数は好きにしたら良いさ。けど、品数だけ揃えてもわしらの一品がそれのどれより美味けりゃワシらの勝ちだ」

 「なら、仕込みたいものもあるし、夜でも良いかしら? 私にはこの屋台があるから。私の料理はこの店で食べてもらうわ」

 「良いだろう、ならワシらは昼にお前達を唸らせる料理を食べさせてやろうじゃないか、覚悟しな」

 こうして、訳も分からないまま突如始まった料理対決の決戦の火蓋は切って落とされたのだった。
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