55 / 125
第二章
やっぱりなのかい!
しおりを挟む
似たような茶屋、その茶屋の店員のあまりにもそっくりな老婆を、私達は結局峠を超える二日間の行程で五度も見ることとなった。
見つけるたびロイスの顔色は悪くなっていく。
毎回、老婆の反応は初対面のもの。
ここまでそっくりなのも二人目くらいまでまなら一卵性双生児なのかな、で片付けることも出来た。
三つ子ちゃん? ……日本みたく出産医療の充実していないこの世界で無事に生まれるのか疑問ではあるけど、まぁごく稀にはあることかも知れない。
けど、五つ子ちゃんは……、
地球ですら生まれれば世界的ニュースになる人数だ。
この世界で無事に出産まで漕ぎ着けられるのかからまず疑問だ。
切迫早産なんて概念、あると思えないもの。
妊婦さんへの気遣いはあれど、臨月から床上げまでの期間以外は働かされるもの、この世界じゃ。
だからこそ、だ。
そっくりな茶屋自体はデザイン揃えて作る程度は簡単だからそうおかしくはないけれど、店主は……、その風貌も相まって……
私もつい、
「レストさんは山姥と戦ったご経験は……?」
と尋ねてしまう。
「その様な魔物は聞いた事がないのだが……」
だよね!
この世界の魔物って、基本獣だもんね。普通の獣ではないけれど。
人と会話できる魔物なんて……、
「御伽話の魔王でもあるまいし……」
「いやー、そりゃ流石に無いだろ? ……無いよな?」
「ははは、今の所冒険者やっててそんな話は聞いたことないな」
「だいじょーぶ、魔王は勇者様が倒してくれるんだよ!」
「勇者様、か……。リアルで聞いたことないけど、高ランク冒険者辺りが駆り出されるのかしらね、もしもの場合……」
「他国は知らんが、今この国に常駐する最高ランクはAだぞ。この国にSランク以上の魔物なんて出ないからな。そんなんで魔王なんて出たらおしまいだ」
――しかし、ようやく出口が見えた、そう希望に満ちた私達の視界に絶望の光景が……
「な、何でまたあるんだよ!」
そう、六つ目の茶屋が、そこに……
あ、やっぱりそっくり過ぎる老婆が出てきて……
「ヒッヒッヒッ、まさか我ら魔王四天王最弱と呼ばれるあのお方の筆頭家臣にお仕えする士官の部下たる、山姥6姉妹全員と相見えるとは、ある意味運の良い奴らだね」
……えーと。四天王最弱はお約束として。本人じゃないんかい、つーかその家臣の部下の部下?
つまり、下っ端じゃん!
てかやっぱり山姥なのかい、つーか魔王の部下の部下が何で日本昔話的妖怪なのよ!
……はぁ、突っ込みどころが多すぎて逆に緊張感が抜けるわ。
見つけるたびロイスの顔色は悪くなっていく。
毎回、老婆の反応は初対面のもの。
ここまでそっくりなのも二人目くらいまでまなら一卵性双生児なのかな、で片付けることも出来た。
三つ子ちゃん? ……日本みたく出産医療の充実していないこの世界で無事に生まれるのか疑問ではあるけど、まぁごく稀にはあることかも知れない。
けど、五つ子ちゃんは……、
地球ですら生まれれば世界的ニュースになる人数だ。
この世界で無事に出産まで漕ぎ着けられるのかからまず疑問だ。
切迫早産なんて概念、あると思えないもの。
妊婦さんへの気遣いはあれど、臨月から床上げまでの期間以外は働かされるもの、この世界じゃ。
だからこそ、だ。
そっくりな茶屋自体はデザイン揃えて作る程度は簡単だからそうおかしくはないけれど、店主は……、その風貌も相まって……
私もつい、
「レストさんは山姥と戦ったご経験は……?」
と尋ねてしまう。
「その様な魔物は聞いた事がないのだが……」
だよね!
この世界の魔物って、基本獣だもんね。普通の獣ではないけれど。
人と会話できる魔物なんて……、
「御伽話の魔王でもあるまいし……」
「いやー、そりゃ流石に無いだろ? ……無いよな?」
「ははは、今の所冒険者やっててそんな話は聞いたことないな」
「だいじょーぶ、魔王は勇者様が倒してくれるんだよ!」
「勇者様、か……。リアルで聞いたことないけど、高ランク冒険者辺りが駆り出されるのかしらね、もしもの場合……」
「他国は知らんが、今この国に常駐する最高ランクはAだぞ。この国にSランク以上の魔物なんて出ないからな。そんなんで魔王なんて出たらおしまいだ」
――しかし、ようやく出口が見えた、そう希望に満ちた私達の視界に絶望の光景が……
「な、何でまたあるんだよ!」
そう、六つ目の茶屋が、そこに……
あ、やっぱりそっくり過ぎる老婆が出てきて……
「ヒッヒッヒッ、まさか我ら魔王四天王最弱と呼ばれるあのお方の筆頭家臣にお仕えする士官の部下たる、山姥6姉妹全員と相見えるとは、ある意味運の良い奴らだね」
……えーと。四天王最弱はお約束として。本人じゃないんかい、つーかその家臣の部下の部下?
つまり、下っ端じゃん!
てかやっぱり山姥なのかい、つーか魔王の部下の部下が何で日本昔話的妖怪なのよ!
……はぁ、突っ込みどころが多すぎて逆に緊張感が抜けるわ。
154
お気に入りに追加
1,345
あなたにおすすめの小説
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる