屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜

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第二章

やっぱりなのかい!

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 似たような茶屋、その茶屋の店員のあまりにもそっくりな老婆を、私達は結局峠を超える二日間の行程で五度も見ることとなった。
 見つけるたびロイスの顔色は悪くなっていく。

 毎回、老婆の反応は初対面のもの。

 ここまでそっくりなのも二人目くらいまでまなら一卵性双生児なのかな、で片付けることも出来た。
 三つ子ちゃん? ……日本みたく出産医療の充実していないこの世界で無事に生まれるのか疑問ではあるけど、まぁごく稀にはあることかも知れない。

 けど、五つ子ちゃんは……、
 地球ですら生まれれば世界的ニュースになる人数だ。
 この世界で無事に出産まで漕ぎ着けられるのかからまず疑問だ。
 切迫早産なんて概念、あると思えないもの。
 妊婦さんへの気遣いはあれど、臨月から床上げまでの期間以外は働かされるもの、この世界じゃ。

 だからこそ、だ。
 そっくりな茶屋自体はデザイン揃えて作る程度は簡単だからそうおかしくはないけれど、店主は……、その風貌も相まって……

 私もつい、
 「レストさんは山姥と戦ったご経験は……?」
 と尋ねてしまう。

 「その様な魔物は聞いた事がないのだが……」

 だよね!
 この世界の魔物って、基本獣だもんね。普通の獣ではないけれど。
 人と会話できる魔物なんて……、

 「御伽話の魔王でもあるまいし……」
 「いやー、そりゃ流石に無いだろ? ……無いよな?」
 「ははは、今の所冒険者やっててそんな話は聞いたことないな」
 「だいじょーぶ、魔王は勇者様が倒してくれるんだよ!」
 「勇者様、か……。リアルで聞いたことないけど、高ランク冒険者辺りが駆り出されるのかしらね、もしもの場合……」
 「他国は知らんが、今この国に常駐する最高ランクはAだぞ。この国にSランク以上の魔物なんて出ないからな。そんなんで魔王なんて出たらおしまいだ」

 ――しかし、ようやく出口が見えた、そう希望に満ちた私達の視界に絶望の光景が……

 「な、何でまたあるんだよ!」
 そう、六つ目の茶屋が、そこに……

 あ、やっぱりそっくり過ぎる老婆が出てきて……


 「ヒッヒッヒッ、まさか我ら魔王四天王最弱と呼ばれるあのお方の筆頭家臣にお仕えする士官の部下たる、山姥6姉妹全員と相見えるとは、ある意味運の良い奴らだね」

 ……えーと。四天王最弱はお約束として。本人じゃないんかい、つーかその家臣の部下の部下?
 つまり、下っ端じゃん!

 てかやっぱり山姥なのかい、つーか魔王の部下の部下が何で日本昔話的妖怪なのよ! 

 ……はぁ、突っ込みどころが多すぎて逆に緊張感が抜けるわ。
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