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第一章
移動販売、午前の部
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「今日は、時間帯で出店場所を変えます」
仕込みを終わらせた私は静かにそう皆に宣言する。
「午前中はお子様連れの奥様方がいらっしゃる市場の出口で。昼時は飲食店街付近で。
そして夜は飲み屋街、なのでミルフィちゃんは先に宿でお留守番。レストには念の為酔っぱらいに目を光らせておいて欲しい」
午前中にはオヤツとして、昼時にはついでのもう一品を狙って。
夜はもちろんこれを食べたらビールが飲みたくなるはずだし、ビールを飲んでいたらこの匂いに逆らえないハズだから。
「取り敢えず午前の部と昼の部はレストさんには列の整理を、ミルフィちゃんには客の呼び込みをお願いしたいんだけど」
私はいつもの通りメインの調理――っても今回は揚げ物するだけだけど――、ロイスは注文聞きと商品のお渡し担当。
ニューフェイスの二人は――
無愛想がデフォルトのレストさんに接客は最初から期待してないから、列の整理という名の警備員ポジションをお願いする。
方や可愛いミルフィは店のマスコットとしてイイ仕事をしてくれそうだけど、可愛いだけに一人にしとくのは心配。
てな訳でなら二人一緒にしてしまえ、と。
「レスト、ミルフィを肩車出来るでしょ?」
と提案した。
「……ああ」
役割分担が決まったら、屋台をまずは市場へ設置し、営業を開始する。
「いらっしゃいませー、美味しい串カツ食べていきませんかー? お野菜いっぱいでヘルシーですよ。お子様のおやつにいかがですかー?」
可愛いミルフィちゃんの声に皆の注目が集まる。
「あら、美味しそうな匂い……」
「うちの宿六なら確実に目の色変えそうな匂いだねぇ。でもアタシにはちと重そうだけど」
「なら、お野菜の多い2番の串がオススメだよ! ほら、あの見本の通り玉ねぎやピーマンが入ってるけど、美味しかったよ!」
「え、お嬢ちゃんピーマン食べられるのかい?」
「普通に食べると美味しくないからあんまり好きじゃないけど、あれは美味しかった」
ミルフィが自信満々に言うので、子連れのお母様方がすかさず列を作った。
そして子供向けの1番と女性向けの2番を注文していく。
「あら、もっと脂っこいかと思ったらそうでもないわね。とくにこのミルフィーユカツ? お肉が入ってるのにしつこくなくて、でもしっかりジューシーで美味しいわ」
「嘘っ、これがピーマン? お肉が入ってて美味しい!」
そう、大人向けのピーマンはピーマンオンリーで上げてるけど、子供向けのピーマンは肉詰めにして揚げている。
衣とソースと肉の味でピーマンを食べやすく。
うん、午前の部の始まりとしては上々でしょう。
仕込みを終わらせた私は静かにそう皆に宣言する。
「午前中はお子様連れの奥様方がいらっしゃる市場の出口で。昼時は飲食店街付近で。
そして夜は飲み屋街、なのでミルフィちゃんは先に宿でお留守番。レストには念の為酔っぱらいに目を光らせておいて欲しい」
午前中にはオヤツとして、昼時にはついでのもう一品を狙って。
夜はもちろんこれを食べたらビールが飲みたくなるはずだし、ビールを飲んでいたらこの匂いに逆らえないハズだから。
「取り敢えず午前の部と昼の部はレストさんには列の整理を、ミルフィちゃんには客の呼び込みをお願いしたいんだけど」
私はいつもの通りメインの調理――っても今回は揚げ物するだけだけど――、ロイスは注文聞きと商品のお渡し担当。
ニューフェイスの二人は――
無愛想がデフォルトのレストさんに接客は最初から期待してないから、列の整理という名の警備員ポジションをお願いする。
方や可愛いミルフィは店のマスコットとしてイイ仕事をしてくれそうだけど、可愛いだけに一人にしとくのは心配。
てな訳でなら二人一緒にしてしまえ、と。
「レスト、ミルフィを肩車出来るでしょ?」
と提案した。
「……ああ」
役割分担が決まったら、屋台をまずは市場へ設置し、営業を開始する。
「いらっしゃいませー、美味しい串カツ食べていきませんかー? お野菜いっぱいでヘルシーですよ。お子様のおやつにいかがですかー?」
可愛いミルフィちゃんの声に皆の注目が集まる。
「あら、美味しそうな匂い……」
「うちの宿六なら確実に目の色変えそうな匂いだねぇ。でもアタシにはちと重そうだけど」
「なら、お野菜の多い2番の串がオススメだよ! ほら、あの見本の通り玉ねぎやピーマンが入ってるけど、美味しかったよ!」
「え、お嬢ちゃんピーマン食べられるのかい?」
「普通に食べると美味しくないからあんまり好きじゃないけど、あれは美味しかった」
ミルフィが自信満々に言うので、子連れのお母様方がすかさず列を作った。
そして子供向けの1番と女性向けの2番を注文していく。
「あら、もっと脂っこいかと思ったらそうでもないわね。とくにこのミルフィーユカツ? お肉が入ってるのにしつこくなくて、でもしっかりジューシーで美味しいわ」
「嘘っ、これがピーマン? お肉が入ってて美味しい!」
そう、大人向けのピーマンはピーマンオンリーで上げてるけど、子供向けのピーマンは肉詰めにして揚げている。
衣とソースと肉の味でピーマンを食べやすく。
うん、午前の部の始まりとしては上々でしょう。
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