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第一章
押しかけ護衛
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「そりゃ、この娘――ミルフィの為さ。……もっと正確に言うなら、この娘の亡き母親の為だがな」
うんうんと、レストさんは一人納得して満足そうに頷いているけど、私達には何の事やらさっぱり分からない。
「この娘――ミルフィの母親はショコラと言いましてね、とても可愛らしく気立ても良くて、この街の人気者だった。
雑貨屋を営んでいて、だから特に俺みたいな冒険者の癒やしと言うか憧れの女性で、な」
レストさんは照れた様に微笑み、一人語りを始める。
「だから、ある時俺の冒険者仲間とくっついた時には相手の男は随分と街の男達の恨みも買ったもんだが……、ショコラは幸せそうだったからな。
野郎については爆発しろとも思ったりした事もあったが、ショコラには幸せになって貰いたかったし、娘のミルフィはショコラそっくりでなぁ」
少し乱暴なくらいにミルフィの頭を撫で回し。
「だから、馬車の事故で二人共死んじまった時にゃミルフィを引き取りたいって輩がわんさと湧いたが皆冒険者、金はあっても子育てどころか自分の家事もままならねえ野郎ばかりで、気持ちだけじゃ幼児を引き取って育てるのは無理だってんで、こいつは養護院に預けられたんだが……」
今のミルフィちゃんは、幼いけれど幼児と言う程幼くはない。小学校中学年くらいだろうか? ……この世界に日本みたいな小学校はないけど。
「もう一人で起きて一人で着替えて、飯の支度は簡単な物しか出来ないが、食べるだけなら一人で出来る。それにこの娘は質が父親に似たのかジッとしてるのが得意でなくてな。養護院が窮屈で仕方ないらしい」
だから、最低限の食に困らなそうな私達にくっついて行こうと考えた。
そういう事らしい。
「とはいえ旅路に戦える者もなく野に放ってはショコラに恨まれるからな。俺はミルフィの保護者としてついて行く。が、良い歳した男が何もせずタダ飯恵んで貰うなど恥であろう?
故に、専属の護衛として雇うという形でお願いしたいのだ」
「うーん、ご飯に困るような事は今の所ないし、一人二人増えてもそれは変わらないよね……?」
「そうだな。こらまで予算の関係で護衛を雇うなんて贅沢は言えなかったけど、金の問題が無いなら、護衛が居てくれるのは有り難い」
「そだね。盗賊の類とまでは言わなくても……ね。今の所私達はまだそこまで酷いのに遭遇してないけど……。
まあ絡んでくるチンピラは屋台業やってるとお約束だからね。
勿論絡まれない様気をつけてはいたけど。
戦う術を持ってる人が仲間に居る安心感は捨てがたいわ」
そんなわけで。
私達の旅に同行者が二人増えたのだった。
うんうんと、レストさんは一人納得して満足そうに頷いているけど、私達には何の事やらさっぱり分からない。
「この娘――ミルフィの母親はショコラと言いましてね、とても可愛らしく気立ても良くて、この街の人気者だった。
雑貨屋を営んでいて、だから特に俺みたいな冒険者の癒やしと言うか憧れの女性で、な」
レストさんは照れた様に微笑み、一人語りを始める。
「だから、ある時俺の冒険者仲間とくっついた時には相手の男は随分と街の男達の恨みも買ったもんだが……、ショコラは幸せそうだったからな。
野郎については爆発しろとも思ったりした事もあったが、ショコラには幸せになって貰いたかったし、娘のミルフィはショコラそっくりでなぁ」
少し乱暴なくらいにミルフィの頭を撫で回し。
「だから、馬車の事故で二人共死んじまった時にゃミルフィを引き取りたいって輩がわんさと湧いたが皆冒険者、金はあっても子育てどころか自分の家事もままならねえ野郎ばかりで、気持ちだけじゃ幼児を引き取って育てるのは無理だってんで、こいつは養護院に預けられたんだが……」
今のミルフィちゃんは、幼いけれど幼児と言う程幼くはない。小学校中学年くらいだろうか? ……この世界に日本みたいな小学校はないけど。
「もう一人で起きて一人で着替えて、飯の支度は簡単な物しか出来ないが、食べるだけなら一人で出来る。それにこの娘は質が父親に似たのかジッとしてるのが得意でなくてな。養護院が窮屈で仕方ないらしい」
だから、最低限の食に困らなそうな私達にくっついて行こうと考えた。
そういう事らしい。
「とはいえ旅路に戦える者もなく野に放ってはショコラに恨まれるからな。俺はミルフィの保護者としてついて行く。が、良い歳した男が何もせずタダ飯恵んで貰うなど恥であろう?
故に、専属の護衛として雇うという形でお願いしたいのだ」
「うーん、ご飯に困るような事は今の所ないし、一人二人増えてもそれは変わらないよね……?」
「そうだな。こらまで予算の関係で護衛を雇うなんて贅沢は言えなかったけど、金の問題が無いなら、護衛が居てくれるのは有り難い」
「そだね。盗賊の類とまでは言わなくても……ね。今の所私達はまだそこまで酷いのに遭遇してないけど……。
まあ絡んでくるチンピラは屋台業やってるとお約束だからね。
勿論絡まれない様気をつけてはいたけど。
戦う術を持ってる人が仲間に居る安心感は捨てがたいわ」
そんなわけで。
私達の旅に同行者が二人増えたのだった。
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