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第一章

あったか蓮根肉まん

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 ふんわり蒸し上がった、湯気の立つまんじゅうの皮は、フーフーしないと火傷しそうなくらい暑いけど、柔らかくモチモチしててイイ感じに出来てる。
 米粉がいい仕事してほんのり甘く、甘じょっぱい肉ダネと良く合った。

 「なにこれ、まんじゅうなのに甘くない……、いや甘いけど砂糖の甘さじゃなくて、肉の旨味と調味料の味がよく合って、しかも皮の甘さがあるのにしつこくなくて……、美味い。2個でも3個でも食えそうだ。何よりれんこんがイイ仕事してるのな」

 「これなら商売になりそうでしょ?」
 「ああ。間違いなく売れる」

 と、言う訳で。
 いざ、勝負!

 先に成形したまんじゅうを大量に作り置き、せいろを2つ使って蒸す。
 皿は要らない。包み紙一枚あれば十分で。

 「おお、こりゃ小腹を満たすのに丁度良いサイズだな」
 「あったけぇ、うまいな。酒のアテにもチビ達のオヤツにもちょうど良さそうだ」
 「ああ、ワインみたいなお貴族様や金持ちの酒には合わなそうだが、麦酒や米酒なんかの庶民の酒との相性は良さそうだな」

 うんうん、結構好調ですね!

 「ほぅ、シャリーさんは料理が上手いんですね」
 食べに来てくれたレストさんが褒めてくれるけど。

 「ありがとうございます。私が作れるのはせいぜい庶民向けの屋台料理や家庭料理ですけどね」

 私のレベルでプロの料理人と張り合ったら惨敗する結果しか見えないし。高い店で出てくるようなオシャレな料理なんか作れないし。

 「うーん、私は高い店のよく分からない料理よりこっちの方が好きだよ?」
 レストさんに奢ってもらったミルフィちゃんが美味しそうにおまんじゅうを食べながら笑う。

 ……うーん、小さな子だと大人向けのお高い料理より安いファストフードやジャンクフード、お子様ランチのおかずラインナップの方が美味しく思える、ってのもあるからなぁ。

 「――ところで、後で話したい事があるのだが」
 「何でしょう?」
 「まぁ、詳しい話は後でだが、頼みたい事があるんだ」
 「うーん、頼み事を引き受けるかは分かりませんが、話を聞くだけなら構いませんよ」
 「助かる、すまないな」
 「いえいえ」

 「お姉ちゃん、おまんじゅう美味しかったよ、またね、バイバーイ」

 小さな手をふる可愛らしいウサミミっ娘ミルフィちゃんに、思わず頬が緩む。
 それはどうやら私だけではなかったらしく……

 「……そうか、美味いのか。おい、わしにもくれんか?」
 「あ、親っさん自分だけずるい! 俺にもくれよ」

 と、ミルフィちゃん効果でお客が増えた。
 ありがとうございます!
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