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第一章

まんじゅう

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 シャリーはれんこんの他に、豚ひき肉と干し椎茸を購入した。

 そして、ロイスは――
 「おい、まだかよぉー」
 「まだまだ、小麦粉位になるまでって言ったでしょ?」

 借り物の臼でひたすら米を粉に引く作業を延々とやらされていた。
 そう、米の粉、つまり米粉だ。

 そして蒸し器を用意する。
 このあたりは米食がデフォルトの地域だからか、茶碗蒸しっぽい料理も存在した。
 ……出汁を取るブツがよく知る昆布や鰹節ではないため少し変わった味だし具材も少ないなんちゃって感がある代物ではあったけど、重要なのはそこではなく蒸し器が存在したということである。

 食材と共に蒸し器も購入した。
 ……流石に石うすは重過ぎて、馬車に載せたら床と車軸、どちらが先に壊れるか、といった感じになるので借り物で済ませたけど、蒸し器は色々と使えるし、竹製なのでそんなに重くない。

 そして、米粉とひき肉、蒸し器で作る料理。それは――

 「まんじゅう? 菓子を売るのは良いが……れんこん使うんじゃないのかよ」
 「使うよ。ちなみにロイスが思い浮かべた甘いあんこやクリームの詰まったおまんじゅうは今回は売らないし作らないよ」

 そう、つくるのはいわゆる“中華まん”だ。
 この世界に米食文化はあってもここは日本ではないから和食という概念は存在しないし、ましてや中華なんてジャンルは無い。

 だが学校帰り、得に冬の寒い時期にコンビニに寄るとついつい買ってしまう中華まん。
 あれは種類豊富だったけど、その内の肉まんを、作って売る。

 れんこんはタネに仕込むつもりだ。

 そしてよりモチモチ感を出す為……、そして何より小麦粉が高いため、今回のまんじゅうの皮は米粉で作る。
 ……とはいえ小麦は基本小麦粉にしてから各料理に使うのが基本だけど、米を粉にするのはあまり聞かない。
 日本だって米粉なんてここ十数年で出てきたばかりの加工品だしね。
 だから、ロイスには頑張ってもらわないと。

 「もぅ……腕が……死ぬ……」

 目が死にかけてるロイスに心の中で手を合わせつつ、シャリーはタネづくりにかかる。

 れんこんはすり潰す物とみじん切りに留めるものと2種類用意する。
 それも生のものと茹でたりして一度火を通したもの、両方用意し、複数の食感を楽しめる工夫を施し、干し椎茸の戻し汁と刻んた干し椎茸と共にひき肉に投入。

 肉を潰しすぎない程度に混ぜる。
 重労働を終えへたるロイスから米粉を受け取り、次は皮作り。

 できた皮にタネを詰め、蒸し器に並べて火にかける。

 「出来た! ロイス、味見してみて」
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