屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜

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第一章

さらなる米を求めて

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 「ふふふ、勝ったな」

 営業一日目が終わる。売上は、ライバル店が周りに沢山あった事を考えればかなり良い方だと思う。
 結局男性客は他店に持っていかれがちなのは最後まで相変わらずだったものの、その取り逃した客層を補ってあまりあるほどの女性客や子供、そして午後からはご年配の客も増えた。

 「最近硬いパンが食べにくくなっとってのう。これは口の中に入れた途端ホロホロ崩れて実に食べやすい。味も色々あるから飽きずに食べられる」
 との理由からお年寄りに大人気だったのだ。
 その彼らから

 「漬物は悪くないが、おかずがもうちっと食べやすい物だとありがたいのだが……」

 脂っこい唐揚げは勿論だけど、女性ウケを狙った筑前煮も、れんこんなどお年寄りの歯や顎に優しくない食材を使ったため、そんな要望が聞かれた。

 そして、おにぎり受けも混ぜご飯おにぎりにしたのが当たったらしい。
 これ、日本でよく見かける三角の白おにぎりに具を入れたコンビニおにぎり系で勝負していたら負けていた可能性とてあった。

 日本人でも白飯のみで食べるのがあまり得意でない人も少なくなかったからな……。
 まんべんなく味のする混ぜご飯だったから良かったものの。

 丼飯など、尚やらなくてよかったと思う。
 よく居るよね、丼もののおかずだけ先に食べちゃって、下のご飯が残っちゃう子。
 慣れた大人ならバランス考えて食べる術も身につけているけど、ご飯に慣れないこの世界の人ならそんな子供みたいな失敗も普通にあり得る。

 「じゃ、もう一品おかずを考えるか」

 お年寄りに優しい、おにぎりに合うおかず、か……。何が良いかなぁ。
 そうだ、匂い作戦も兼ねて大根の照り煮でも作るか!

 と、これが大当たり!
 匂いにつられて男性客も少し増え、翌日の営業も悪くない結果を叩き出し終了。

 「やっぱり米は偉大ね! 折角だからもう少し買い足してから街を出ましょう」

 と、再びあの店を訪れたのだが……

 「いや、悪いがもうねぇし、当分次を仕入れる予定もねぇよ。あれだってたまたま仕入れたモンだし、嬢ちゃん以外に欲しいなんて奴はこれまで居なかったんだからな」

 と、けんもほろろ……

 「欲しいなら隣国の湖の街に行くといい。米とやらの一大産地らしいから、そこ行きゃ手に入るだろ」

 と思えばそんな素晴らしいお話を教えてくれた。

 お陰で目指す目的地が確定しました。
 私達が目指すのは、隣国の水の国、アクアポートのレイド地方。

 「あのー、俺の意見は……? いや、別に特別行きたい場所がある訳でもないから構わないんだけどよ……」
 とロイドに呆れられたけど、お米様はやはり元日本人としては常にある一定量は確保しておきたいところなのですよ、ね?
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