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第一章

愛しのお米様

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 パンパカパーン!

 しゃりーは、こめを てにいれた!

 「ふふふふふふふふふ」
 「なぁ、シャリー。そろそろ正気に返らねぇか? マジ怖えから」

 店で買占めた米袋の内の一袋を解き、その口から両手差し入れ、中身を両手に掬う。

 ああ、間違いない。

 早速米と水を計って鍋に入れ、出汁と、卵を溶き入れ簡単卵雑炊を作る。

 「あぁ、美味しい……」
 コシヒカリやあきたこまちなど、名の知れた日本のブランド米には劣るが、懐かしのジャポニカ米だ。

 「確かに美味いけど、これ……売れるか?」
 「いや、これは自分用に作っただけだし。売らないし」

 「じゃあ何の為にこんなに大量にこの米? っての買ったんだよ」
 「いや、米料理は何か考えて売るけどさ、流石に雑炊は売れないと思うけど、とにかく私が食べたかったんだよ」

 しかし……、明日のためにはそろそろ本気でメニューを考えないといけないな。

 お米で作れる屋台飯。

 元祖屋台の江戸前寿司を作るには鮮魚がないし、丼飯……、上に何乗せる? おにぎり、焼きおにぎり。稲荷寿司……、おこわ。

 米料理は山程浮かぶけど、これと言う決め手に欠ける。

 「うーん、食材は色々あるからおにぎりで種類揃える? 中に具材入れるタイプだと見た目寂しいから混ぜご飯おむすびにすれば……。ついでに味噌汁とセット……ついでに唐揚げ付けるか? 焼きおにぎりやお稲荷さんも捨てがたいけど豆腐や油揚げもないもんなー」

 最悪豆腐さえあれば油揚げを作れない事もないけど、流石に大豆から豆腐を作り上げる知識や技術は足りない。

 ここはおむすび屋さんやコンビニで見かける「おむすびセット」に倣い、好きなおむすび三つと漬物に唐揚げ、豚汁のセット販売をしてみようかな……。
 うーん、唐揚げだと男性は喜びそうだけど、おかずももう一つ、女性ウケしそうな選択肢がもう一つ欲しい。

 定番は卵焼きなんだけど、かつて日本ではきのこVSたけのこ論争並み……いやそれ以上に卵焼きと言うのは好みにうるさい人の多いおかずだったしな……

 よし、筑前煮にしよう。
 具材は鶏肉と人参里芋蓮根。普通は他にもたけのことかこんにゃくとか入れるんだけど、今回は最低限の具材でいく。

 もう一度市場へ出向き、おむすびの具材と共に買い出しをし、早速仕込みに入る。

 唐揚げの肉を漬け込み、筑前煮を作り、きゅうりをにんにく放り込んだポン酢に漬ける。

 おむすびの具材は塩漬け鮭のフレークに、マグロの油漬け――すなわちツナの醤油マヨ和え、菜っ葉の塩漬けに鶏そぼろ。
 プレーンな塩おにぎりと醤油味の焼きおにぎりも加えて。

 塩と焼きおにぎりはまた明日、順次作るし他のおにぎりも今日用意するのは具材だけ。

 さぁ、この選択が吉と出るか凶と出るか……
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