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第一章

食材を求めて

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 さて、そんな便利なスキルを持っていても、食材が無ければ料理は出来ない。

 だから、食料豊富な農村近くの街や漁師町、商業の盛んな街を巡りたいのだけど、その前に私達はこの国を出なければならない。

 けれど。
 一応旅立つ前にコツコツ貯めてきた路銀はあるけれど、そもそも予定より半年も早い出発となった事もあって、出来れば道中で少しでも稼いでおきたい事情もあって……。

 「お好み焼き屋は成功だった……が、キャベツや特に川海老は日持ちしないし、次の街でも手に入る保証はないよな?」
 「キャベツはまだしも、川海老は……川の側の街なら可能性はまだあるけどね」

 「うーん、地図を見る限りしばらく川は無いな」

 「お好み焼き屋は運良く当たったけどさ、毎度お好み焼き屋ってのもつまらないじゃない。その土地の美味しいもので美味しい物を作りたいから行商するんじゃない」

 むしろこの先は草原地帯が続く、酪農畜産が盛んな地域。

 そして、数日の後辿り着いたとある街の早朝。

 「コケコッコーー!」
 「コケコッコー」
 「コケコッコー」

 四方八方からいくつも重なって聞こえる雄鶏の鳴き声。
 それを合図にコケコケと雌鳥の控えめな声も加わる。

 ここは、養鶏農家の多く集まる町。
 故に、この街の市場には卵と鶏肉、穀物類ととうもろこしが豊富に揃っていた。

 「うーん、卵に鶏肉……か。米があったら親子丼にするんだけど……」

 ここにある穀物は小麦に大麦、あわにひえ。
 ……この世界に米が存在することは知っているけれど、人間が食べる主な穀物は基本小麦で、あわやひえは動物の飼料というのが一般的な認識。

 醤油や味噌をスキルで出せても、米は勿論調味料じゃないからね。
 レベルが上がればもしかしてこうじなら手に入るかもと期待しているけれど……。

 「鶏肉で屋台料理なら……、やっぱりあれかな」

 そう、こちらもお酒のアテにはピッタリ、ながら子供にも人気なメニュー、焼き鳥。

 内臓系は好き嫌いが分かれるけど、モモやツクネを嫌いな人はほぼ居ないと思う。
 ついでに個人的にはぼんじり無敵だと思う。

 卵は煮卵で売ろうかな。
 調味料に漬けるだけだから簡単だし。

 焼き鳥屋台をやるなら、お好み焼き屋以上に仕込みが肝心だ。
 ……流石に串打ち職人みたくはいかないかもだけど、買ってきた大量の鶏肉を捌いて部位ごとに分け、串に刺していく。

 車の中に仕込んだ冷蔵庫の魔道具に大量の串を用意し、また焼き鳥ダレと、煮卵の煮汁を用意。ゆで卵を漬け込んで……

 「よし、明日の準備完了!」
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