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第一章 式神ゲット!
参話 精霊様に大人気?
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「ふふ、ははははは!」
辺りにとても楽しそうな笑い声が響いた。
ぱちん、と彼女が指を鳴らせばそれだけで彼女を植物が覆い隠し、するりと拘束から抜け出した。
……終わった。もう他に手はない。
ついこないだ死にかけて生還したばかりだと言うのにもう死んでしまうのか……?
「……おい。いい加減にしないか」
諦めかけたその時、声がした。
「契約を望まれた時、その力量を量る為に我らは戦う。だが、先に条件も定めずのこの戦いで人を傷つければ精霊王より処罰が下されるぞ」
「わ~かってるよ! ちょっとお試ししただけだもん! いやー、楽しかった~♪」
突如現れ木の精霊を説教し始めたのは水の精霊だった。だけど、それに堪えた様子もなく木の精霊は明るく笑った。
「で、どーだった?」
彼女が突然誰ともなく尋ねた。
「「「「「?」」」」」
皆して首を捻る。――が、彼女の服の隙間から、ひょこひょこ顔を出したのは木の妖精たち。
「はーい、僕契約したい!」
肩まで伸びた髪を後ろで一つにまとめた男の子が手を挙げた。
「名前ちょーだい!」
「え? ……戦わなくていいの?」
「だって、今精霊様と戦ったじゃない。あれを見ていたからね。改めて戦わなくても契約に値するかどうかなんてすぐ分かるよ!」
「ふふ、我も気に入ったのだ。水のを真似て、我もそなたと契約したい!」
「……分かりました。じゃあ、君の名前は『ラント』だ」
「分かった! ふふふ、やったぁ! 僕の名前だ!」
木属性の子って元気な子が多いのかな?
「ああ、それと」
「はい?」
「土の精霊もそなたに興味を持っておった。近々会いに行ってやると良いぞ!」
「……ちなみにその土の精霊様は一体何処に?」
「うむ。ここからだとちと遠いの。人々が都と呼ぶ町の向こう側じゃ」
「――俺達が向かっているのは都だしな。その後で寄るんでも大丈夫か?」
「ええ、大丈夫でしょう。……彼女は精霊達の中でも特にせっかちですからこうして暴走した様ですが、件の土の精霊様は気の長い方ですから、問題はないでしょう」
「……そうか」
だけど、突然の戦闘で皆ぼろぼろだ。
「今日は早めに休むか」
「――では、私はこれで」
「ありがとう」
「あ、待った待った、私も帰るよ~! んじゃね~!」
「精霊様、またねー!」
妖精と精霊は手を振り合い、そして精霊はふっと姿を消した。
「……精霊と契約するのが大変な事は知っていたが、まさかこういう方面での大変さがあるとは……予想外だったな」
「あ、あはははは……。ウチの精霊様はいつも落ち着きがないって大精霊様に怒られてるからなぁ」
ラントが少し気不味そうに目を逸らした。
「……まあいい。これからよろしくな」
「はーい!」
辺りにとても楽しそうな笑い声が響いた。
ぱちん、と彼女が指を鳴らせばそれだけで彼女を植物が覆い隠し、するりと拘束から抜け出した。
……終わった。もう他に手はない。
ついこないだ死にかけて生還したばかりだと言うのにもう死んでしまうのか……?
「……おい。いい加減にしないか」
諦めかけたその時、声がした。
「契約を望まれた時、その力量を量る為に我らは戦う。だが、先に条件も定めずのこの戦いで人を傷つければ精霊王より処罰が下されるぞ」
「わ~かってるよ! ちょっとお試ししただけだもん! いやー、楽しかった~♪」
突如現れ木の精霊を説教し始めたのは水の精霊だった。だけど、それに堪えた様子もなく木の精霊は明るく笑った。
「で、どーだった?」
彼女が突然誰ともなく尋ねた。
「「「「「?」」」」」
皆して首を捻る。――が、彼女の服の隙間から、ひょこひょこ顔を出したのは木の妖精たち。
「はーい、僕契約したい!」
肩まで伸びた髪を後ろで一つにまとめた男の子が手を挙げた。
「名前ちょーだい!」
「え? ……戦わなくていいの?」
「だって、今精霊様と戦ったじゃない。あれを見ていたからね。改めて戦わなくても契約に値するかどうかなんてすぐ分かるよ!」
「ふふ、我も気に入ったのだ。水のを真似て、我もそなたと契約したい!」
「……分かりました。じゃあ、君の名前は『ラント』だ」
「分かった! ふふふ、やったぁ! 僕の名前だ!」
木属性の子って元気な子が多いのかな?
「ああ、それと」
「はい?」
「土の精霊もそなたに興味を持っておった。近々会いに行ってやると良いぞ!」
「……ちなみにその土の精霊様は一体何処に?」
「うむ。ここからだとちと遠いの。人々が都と呼ぶ町の向こう側じゃ」
「――俺達が向かっているのは都だしな。その後で寄るんでも大丈夫か?」
「ええ、大丈夫でしょう。……彼女は精霊達の中でも特にせっかちですからこうして暴走した様ですが、件の土の精霊様は気の長い方ですから、問題はないでしょう」
「……そうか」
だけど、突然の戦闘で皆ぼろぼろだ。
「今日は早めに休むか」
「――では、私はこれで」
「ありがとう」
「あ、待った待った、私も帰るよ~! んじゃね~!」
「精霊様、またねー!」
妖精と精霊は手を振り合い、そして精霊はふっと姿を消した。
「……精霊と契約するのが大変な事は知っていたが、まさかこういう方面での大変さがあるとは……予想外だったな」
「あ、あはははは……。ウチの精霊様はいつも落ち着きがないって大精霊様に怒られてるからなぁ」
ラントが少し気不味そうに目を逸らした。
「……まあいい。これからよろしくな」
「はーい!」
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