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第一章 式神ゲット!
弐話 木の精霊様
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「なっ!」
……水の精霊様とは実力の違いが明らかすぎて戦わなかった。代わりに妖精と戦って契約したのだ。
彼女は属性は違えど精霊だと言った。
実際肌で感じる実力差は水の精霊様と変わらない。
「そぉれ!」
するすると周囲の草が急成長を始める。……まずい。妖精では精霊に勝てないだろうし、そもそも水と木ではあちらの属性の威力を増幅してしまうだろう。
木属性をどうにかしたいなら、火で燃やしてしまうか金属性で刈り取るしかない。
「蒼月、周りの草を燃やして下さい! 優菜、草治、燃えかすの土を彼女の回りに固めて! シクア、火が他所に燃え移らないよう水の結界を張ってちょうだい」
鞭のようにしなる蔦を避けながら指示を飛ばした。
「それそれそれ!」
私自身は最近ようやくスピードの伴った連射が可能となった霊力弾に金属性を纏わせて、精霊本体を狙う。
「キャハハ、へー、本当に珍しい技使うんだねぇ」
だけど、ひらりひらりと楽しげに軽くかわされてしまう。
華乃さんがそのトリッキーな動きを阻害しようと鋼糸を飛ばすけれど、その度に葉っぱの盾が現れ、その盾を切り裂くだけに留まってしまう。
土魔法を優菜に任せて草治が針を飛ばすけれど、これも簡単に避けられてしまう。
――分かっていたけどレベルの差が酷い。
流石にひのきの棒でラスボス戦……よりは遥かにマシだけど、わりと初期の装備で四天王(最弱)と戦ってる気分になる。
勝てないのは分かりきっているけど、色々こちらもジリ貧だ。……彼女はそれを理解しているのだろうか? このままだと私たち揃って「DEDEND」もありうるんだけど!
ええい、こうなったら……!
ダメ元でやってみるしかない。私は覚悟を決めて霊力弾を牽制と囮にして、自身の足で彼女に駆け寄る。
「おい、陽彰何してる!」
草治が怒りの声をあげるけど、今は無視だ。……後が物凄~く恐いけど。
……私の突然の行動に戸惑う精霊の腕を掴み投げ飛ばす。――思った通り彼女の身体に重みはなく、私でも簡単に投げ飛ばせた。
中を移動している間は足場でもない限り自分で自由には動けない。だから、彼女の進路の先にある木に日をつけ燃やし、土で壁を作った。
程なく彼女はその壁に激突した。……が、元々軽い身体だ、その衝撃もまた軽い。
だけど、私の狙いはそこじゃない。
「縛!」
土を固めて金属製を纏わせ、彼女を拘束する。
……けど、力の差はれきぜんだ。彼女が本気になればあの程度の拘束はいとも容易く解いてしまうだろう。
――緊張の一時が、場に流れた。
……水の精霊様とは実力の違いが明らかすぎて戦わなかった。代わりに妖精と戦って契約したのだ。
彼女は属性は違えど精霊だと言った。
実際肌で感じる実力差は水の精霊様と変わらない。
「そぉれ!」
するすると周囲の草が急成長を始める。……まずい。妖精では精霊に勝てないだろうし、そもそも水と木ではあちらの属性の威力を増幅してしまうだろう。
木属性をどうにかしたいなら、火で燃やしてしまうか金属性で刈り取るしかない。
「蒼月、周りの草を燃やして下さい! 優菜、草治、燃えかすの土を彼女の回りに固めて! シクア、火が他所に燃え移らないよう水の結界を張ってちょうだい」
鞭のようにしなる蔦を避けながら指示を飛ばした。
「それそれそれ!」
私自身は最近ようやくスピードの伴った連射が可能となった霊力弾に金属性を纏わせて、精霊本体を狙う。
「キャハハ、へー、本当に珍しい技使うんだねぇ」
だけど、ひらりひらりと楽しげに軽くかわされてしまう。
華乃さんがそのトリッキーな動きを阻害しようと鋼糸を飛ばすけれど、その度に葉っぱの盾が現れ、その盾を切り裂くだけに留まってしまう。
土魔法を優菜に任せて草治が針を飛ばすけれど、これも簡単に避けられてしまう。
――分かっていたけどレベルの差が酷い。
流石にひのきの棒でラスボス戦……よりは遥かにマシだけど、わりと初期の装備で四天王(最弱)と戦ってる気分になる。
勝てないのは分かりきっているけど、色々こちらもジリ貧だ。……彼女はそれを理解しているのだろうか? このままだと私たち揃って「DEDEND」もありうるんだけど!
ええい、こうなったら……!
ダメ元でやってみるしかない。私は覚悟を決めて霊力弾を牽制と囮にして、自身の足で彼女に駆け寄る。
「おい、陽彰何してる!」
草治が怒りの声をあげるけど、今は無視だ。……後が物凄~く恐いけど。
……私の突然の行動に戸惑う精霊の腕を掴み投げ飛ばす。――思った通り彼女の身体に重みはなく、私でも簡単に投げ飛ばせた。
中を移動している間は足場でもない限り自分で自由には動けない。だから、彼女の進路の先にある木に日をつけ燃やし、土で壁を作った。
程なく彼女はその壁に激突した。……が、元々軽い身体だ、その衝撃もまた軽い。
だけど、私の狙いはそこじゃない。
「縛!」
土を固めて金属製を纏わせ、彼女を拘束する。
……けど、力の差はれきぜんだ。彼女が本気になればあの程度の拘束はいとも容易く解いてしまうだろう。
――緊張の一時が、場に流れた。
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