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第四章 生還

肆話 水の精霊

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    ――と、言う訳で。やって来ました、水の精霊様の楽園へ!
    そう、この世界には精霊様がいらっしゃる!    そして、素養がありなおかつ精霊に認められれば契約が可能らしい。
    ……と、草治が言うので、ちょっと寄り道する事になりました。
    「精霊と契約すると、その属性の魔法が使いやすくなる。上位の契約を結ぶ事が出来れば、呼び出して精霊自身に魔法を使って貰う事も出来るらしい」
    なんて聞けば……ね。
    これまで遭遇した魔物を式神にするよりは……と考えるのも当然だと思わない!?
    だから、心当たりがあると言う蒼月に案内して貰って辿り着いたのがここ。
    山の中の泉。……本当にここは山の中の山の中。冒険者でも滅多に足を踏み入れなさそうな奥深く。
    ここに来るまで一週間は歩いたと思う。
    最近では暑さも和らぎ涼しい日が多くなってきているとは言え、ここの爽やかな空気は他とは質が違った。
    ……おそらくはこの――手乗りサイズで背にトンボの様な翅を持った子達のせいなんだろうけど。
    そんな小さな子達を統率しているのは、私達と変わらない背丈の、でも背には翅を持つ精霊……らしい。
    「……この様な山の奥まで来るとは、そなたら何用ぞ?」
    「あのっ、私と契約して下さい!」
    「……ほう?」
     うっそりと、美男子が微笑む。
     ……小さな子達は男女共に居るんだけど、この大きな精霊は男性の姿をしていた。
    髪は腰まで伸ばした銀髪に、水色の瞳。それに古代ローマ人みたいな格好をしている。
    筋肉ムキムキではないけれど、なよっちくもない。
    まさに美男子又は美青年と言うべき目の保養にはぴったりな外見をしている。
    ……だけど、彼から感じる力は相当なものだ。
   「陽彰、周りの小さいのとならともかく、あの大きいのと戦いになれば確実に負けるぞ!    話し合いでどうにかならぬのなら、ここは退くのも一つの手じゃ!」
    晴明からもそんな警告が入る。
   「ふむ。お前、この世界の者ではないな……?」
   「え、分かるんですか?」
   「詳しい事は分からん。だが、そなたの魂がこの世界の者とは異なる波動を放っているのは感じられる」
   「……そうなんですか。確かに私は転移してこの世界に来た異世界人です」
   「しかも面白い者を連れているな?」
   「……彼は本人が言うには私の前世の人格で、私の世界では有名な術士だと。彼の言う事が真実であれば、彼は私の世界では今は神として扱われています」
   「それは興味深い」
    ……だけど、彼は意外にも私の提案を飲んだ。
   「良いだろう、契約してやろう」
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