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第四章 パーティーの実力

肆話 パーティーの評価

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    ――五行ある属性のうち、より分かりやすいのはやっぱり水と火だった。……けど、いきなり火を扱うのはやっぱり怖くて、まずは水の属性で練習を始めた。
   「私は薬師です。薬を作る時に水をよく使うので、水属性がある事には感謝してますよ」
    すり潰した薬草を伸ばしたり練ったりするときに、ただの井戸水を使うより、水属性の魔力を使った方が効果の高い薬が出来るらしい。
   「私は木属性も持っているので、薬草の効果を効率的に引き出す事も出来ます」
    つまり、チート+チート=凄いチートで並みの薬師の作り出す薬よりも良い出来の薬が作れる。
    ……それを草治さんの診断付きで作るのだ。
    大抵の薬師は一人かせいぜい護衛と旅するものだから、診断も薬師が行うことになる。勿論最低限の医療知識はあるけれど、専門家には敵わない。
    ……それは草治さんにも言える事。草治さんは診断はできても薬の専門家ではない。いくら診断が正確でも、治療に必要な薬がなければ病は治らない。
   「治療術は怪我は治せても、病は治せないからな」
   「だから、私達は個人では『優』評価ですけど、パーティーとしては『特優』評価をいただいているんですよ」
    とにこにこ嬉しそうに優菜が言った。
    ……ちなみに「優」だの「特優」だのというのは寄合所が設けている評価で、つまりギルドランクの事だ。
    上から「超特優」「特優」「優」「良」「並」「見習い」まである。これは他の寄合所でも同じ呼び方をするらしい。
   「ああ、俺は『優』評価の冒険者だぜ」
     と蒼月さんが教えてくれた。
   「ちなみにアタシは『特優』の商人さね」
     彼女の場合は物を売るより情報の売買の方が本業で、そちらの評価での「特優」らしい。
    「物の売買での特優評価は大店の旦那レベルの商人だからね。けど、冒険者としては並評価だよ」
    「ああ、それは私達兄妹もそうです。……ただ、パーティーとしての評価は『優』ですけど」 
    個人としては凡人でも、パーティーを組めば戦える。だけど、やはりこのパーティーは兄妹が要の医療パーティーなんだそうだ。
   「アタシが商人やってるのも、薬の原料の仕入れと出来た薬の販売、それと各種情報を扱う為だしね」
   「俺もこのパーティーの護衛の為に冒険者になったしな」
    皆で練習しながらそんな会話を交わしつつ歩く。
    最近、セミの声がうるさくなり始め、本格的に暑くなってきた。
   「……やはり、この季節はキツいな」
    気のせいか、兄妹の顔色があまり良くない。
   「ごめんなさい、ちょっと……」
    最近蒼月さんや華乃さんと連れだって「お花摘み」に行く頻度が増えた気がする。
    暑くて水を飲む機会が増えているとはいえ――。
    「暑いの苦手な種族……って事?」
    そう言えばまだ私は緋川兄妹の種族が何か聞いていない。聞く機会もなかったから……。
    「聞いても良いのかな……?」
     私は迷いながら修行に励んでいた。
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