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第四章 パーティーの実力

壱話 花街の華

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    「はぁ、さっきは流石に冷や冷やしました」
    騒ぎを起こしてしまったので、私達は急いで食べ終え部屋に戻ってきていた。
    「はは、あんな連中はどこにでも居るからねぇ。……まぁ、私はそんなのが特に多い場所に長く居たからね。ああいうののあしらいは一通り経験してる。――というか上手いこと捌く術を心得ていたから今ここで息をしていられる」
    優菜ちゃんが淹れてくれたお茶に手を伸ばしながら、華乃さんはほの暗い笑みを浮かべた。
    「アタシはこうして冒険者になる前は女を売って生きていたからねぇ」
    その笑みは蠱惑的な魅力があって、同性の私でもつい惹き込まれそうになるんだから、男性なんか簡単に引っ掛かるだろう。……何しろ華乃さんは顔も美人だけど、なによりその胸とか腰回りとかとにかく羨まけしからんプロポーションをしているんだから。これに惹かれない男は居ないだろう。
    ……だけど、「女を売る」って事は……。
    「アタシは幼い頃に口減らしの為に親に娼館に売られたのさ。――淫魔サキュバスのアタシら一族の天職とは言うけどねぇ。やっぱり不特定多数を相手にするよりは好いた男一人とヤる方が良いモンさ」
    「……淫魔族は特に男女の扱いの差が激しい種族だからな。淫魔族の男は優良なたねを極上の快楽と共にいくらでも撒けると有り難がられる。……淫魔族の男の出生率はかなり低いから余計に……な」
    「逆にいくらでも簡単に生まれる女はまぐわう男に極上の快楽をもたらすが、その快楽の結果まで求める男はほぼ居ない。……故に娼館に売り飛ばされる淫魔の娘は多い」
   「その中でもアタシはわりと人気で売れてたのさ。――だからね、あんな程度の男くらいいなせなきゃ生きていけなかったのさ。こちとら商売女だ、タダで食わせてやるわけにゃいかなかったからねぇ」
    とクスクス笑う姐さん。ああ、あけすけな姐さんの台詞に優菜ちゃんが真っ赤になってる。
    「ふぅん、お嬢ちゃんはあんまり動じてないね?」
    「……施設を卒業した先輩の中には夜のお仕事に就いた人も少なくないですから。私自身親も金も無いだろ?    って近付いてくる男は少なからず居ましたし。……ただ、私には姐さん程の技はありませんから、逃げ方と隠れ方ばかり上手くなった感じですけど」
    ……本当に最後までする仕事に就いた先輩は少ないけど、キャバ嬢してる先輩は多い。――親の居る子と同じ様に高校時代を過ごしていては、競争に負けてしまうから。
    「ふふ、なら今度男のあしらい方も教えてやるよ」
     華乃さんは明るく笑った。
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