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第三章 異世界での生活

参話 身分証明カードゲット!

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    「えーと、どういう事なんでしょう?」
    貰ったカードを手にそれを見下ろしつつ私は尋ねた。
    「後で説明する。だがその前に……」
     と、緋川兄妹と華乃さんがそれぞれ別のギルドへと入って行き、私と蒼月さんだけがその場に取り残された。
    「え?」
    「あいつらは、冒険者寄合所と掛け持ちで別の寄合所にも登録してんだよ」
    彼が言うには、こうして出張所のある場所で定期的に報告を上げないと何かと面倒臭い事になるんだそうだ。
    「だが、そのカードは身分証明になる。持っていて損はない」
    ……私はすんなり登録出来た気がしたけど、どうやらそれは草治さん達と居たかららしい。一人で登録に来ていたら、根掘り葉掘り色々詮索される事になっただろう、と蒼月さんは言った。
    「大抵は、その出張所が受け持つ地域の者が登録に来るから、敢えて聞かずとも大抵は、どこの誰かその職員が把握してる。だから見知らぬ奴が登録に来たなら当然質問攻めだ」
    ……異世界人の私は聞かれて困る事だらけだ。
   「だから、比較的審査が緩いこの辺りの田舎の出張所で登録しちまおうって事よ。もっと大きな街じゃ流石に俺たちが付いていてもこうはいかねぇからな」
     だけど、一度登録してしまえばこっちのもの。余程犯罪でも犯さない限りはそのまま身分証明として使えるのだ。
   「だが、無くすなよ。再発行は面倒だ。……特にお前の場合はな」
    「き、気を付けます」
     その後。戻ってきた兄妹と華乃さんとで街を歩く。
    「……元々持っていた鞄を手放させてしまったからな。新しい鞄は必要だろう。雑貨屋を覗いていくか」
    と、ショッピング等楽しみつつ、この世界に来て初めて宿に泊まった。最近流行りの古民家民宿みたいな、酒場を兼ねた宿屋だ。
    「二部屋頼む」
    「あいよ!」
     受け付けに居たのはお約束みたいな恰幅の良い元気なおばちゃんだった。
    「東の奥の部屋を使いな。翡翠の間の名前があるとこだ。続き部屋だがふすまで二部屋に仕切れるよ」
    と、緑色の根付けのついた鍵を渡された。
    言われた通りに廊下を進むと、確かにその名の書かれた部屋があった。
    廊下に面した扉はふすまではなく戸板の引き戸で、その扉に鍵がついている。
    鍵を開けて中に入ると二畳の板間が。そしてその向こうにふすまがある。ふすまを開けると六畳の和室。座卓にお茶セット一式とお茶菓子が用意されていた。
その奥に障子付の腰窓。そのまま向かって右側は欄間付のふすま。これを開けるとまた六畳の和室と押し入れがあった。
    「……取り敢えず荷物を置いて、飯にしよう」
     この世界に来て初めての宿で。この世界で初めての人の作ったご飯を食べる事になりそうです。
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