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第三章 異世界での生活

弐話 冒険者になりました……?

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    おや、と思ったのはいつもの村と比べて回りを囲む防壁が立派だったから。
    作物やそこに住む人々を獣から守るためのそれも、これまでは丸太を地面に刺して並べて紐で縛って固定しただけ……なんてのがザラだったのに。
    こちらは蒼月さんが大人を肩車したその人が見上げるくらいの高さの土壁がそびえ立っていて。
    「もしかして……ここが?」
    もう目的の街へ着いてしまったんだろうか? 
    「いや。確かにここはこの周辺の村をまとめる旗艦都市だが、規模はせいぜい田舎町だ。農村よりは……ってな程度だよ」
    そう言われて門を潜る、と――
    これまで土むき出しなのが当たり前だった道が、荒削りで少々凹凸はあるものの石畳になり、これまでの村では見なかった商店がある。
    ……といっても雑貨屋に鍛冶屋のような実用系の店か、八百屋や魚屋等の食料品の店がそれぞれ一軒ずつあるだけで、おしゃれ着の店みたいなのは見当たらない。ただ、田畑よりは工房や住宅の方が目立つ辺りが周辺の農村との相違点だろう。
    そして……。
    「ここは……」
    「寄合所だ」
     まるで長屋のような建物が数棟並んでいる。
     順に「商人寄合所」、「医師薬師寄合所」、「冒険者寄合所」……等と看板がかかっていた。
    「俺らは全員冒険者寄合所に登録している」
     と蒼月がまずは冒険者寄合所と看板の出ている建物に入っていくのに皆が従う様に入っていく。
    入ると受付の番台に人が居て、にこやかに微笑んでいる。……なかなか美人な女性だ。華乃さんの様な蠱惑的なのじゃなくて、正統派の美人さん。
    そして壁に張り出された大量の張り紙。
    ……建物や人の外観こそ和風だけどこれは……所謂冒険者ギルド的な……?
    彼らはそれぞれ名刺サイズのカードを出して、彼女にチェックされている。
    「はい、では今回の報酬を振り込んでおきますね!」
    「……それと。彼女の登録を。」
    私の背を押し彼女の目の前に出す。
    「はい、ではこの用紙にご記入を」
     と、名前や職業ポジションを書く欄のあるそれを見下ろす。
    「……名前は名字は伏せろ。職業は……魔術師見習いとでも書いておけ」
    等とこそこそアドバイスを受けながら記入欄を埋めて提出。……嘘は書いてないけど本当の事も書いていない書類を元に彼女は人を呼んで一度後ろの部屋へと遠し、代わりにカードを持ってきた下っぱっぽい男の人からそれを受け取った。
    「じゃ、ここに血判を押してね」
    「……これを使え」
     カードの裏のスペースを示され、草治さんにナイフを渡される。
     親指の腹を少し切ってぎゅっと押し付ける。
    「はい、これで登録完了です!    えっと……説明は……」
    「こちらでする。では」
     ――良く分からないけど、私は冒険者として登録されたらしいです。
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