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第二章 霊力修行

参話 草治の治癒術

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    「うー、上手くいかない……」
    あれから数日が経った。……だけど、今回の修行はかなり難航していた。
    大雑把に腹の中でかき回すくらいなら既に難なく出来るようになったのだけど、これが手足や頭まで隅々全身を……となると途端に難易度が上がるのだ。
    ……というか、玉一つでこれだけ大変なのに、晴明が要求するのは全ての玉を常に循環させろ、と。最終的には無意識で出来るようにしろとの事。
    ……正直「無茶を言うな!」とちゃぶ台ひっくり返したいです。
    「仕方ないな、少し手伝ってやろう」
     そんな時に救いの手を差し伸べてくれたのは草治さんだった。
    「え?」
     だけど、霊力なんて自分でもあやふやな力をどうやって?    と戸惑っていると、不意に彼の少し冷たい手が私の頸動脈、その脈打っているそのすぐ上に触れるのが分かった。
    「目を閉じて力を感じろ」
    「え?    ……あ」
     彼の手が触れたところから、私の力とは何か違う、でもとても良く似た力――玉が入ってきた。
     それが、私の体の中をゆっくりと移動していく。まずは血流の流れに乗って頭へ。ぐるりと一周して心臓へ。そこから肺へと流れてまた心臓へ。次は左腕。指の先まで巡って心臓へ。次は右腕。右足、左足。ほぼ一定の速度で、詰まることもコースアウトする事もなく巡り――同時にそれは私の体から疲労を駆逐していく。
    ……なんというか、エステ的なマッサージを受けているようでなんだか気持ちいい……様な……?
    力の動きに集中しながらも、その心地よさについうとうとしたくなる。
    「どうだ?    力を巡らせるというイメージが、これでしやすくなったのではないか?」
     と、半分現実世界から離脱しかけていた私の意識がその声を何とか拾って脳に届け、私はハッと目を覚ました。
    「あ、は、はいっ!」
    「……お前」
    「すすすす、済みません!    散々ご迷惑おかけして、ご協力いただいているのに、つい気持ち良くて寝こけるなんて……!」
    ペコペコ謝る私に、草治さんは何故かビックリした顔で固まっていた。
    「ああ……いや。参考になればと思って治癒術の一つを使ったんだ。――あまり根を詰めすぎるなよ」
    草治さんが言うには、魔術による治癒術というものがあって、彼はその使い手らしい。
   「今のはちょっとした体力回復術だ。……優菜の薬を飲むにも最低限の体力は要るからな。その補助なんかに使う術なんだが……」
    説明する言葉がなんか歯切れが悪いけど……。
   「いえ、とても分かりやすかったです」
    お陰で、次に試した時にはゆっくりながら一周させるのに成功した。
    ……晴明の理想にはまだ程遠いけど、千里の道も一歩から――だよね?
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