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魔王対策

商業の要所

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    「……何というか……商売に関わる人間として、ある意味勉強にはなるけど、気に入らないわ」
    この国は、川も海も持たない国だ。
    代わりに国土のほぼ中央に塩湖を持ち、また海の港を持つ国と、川の港を持つ国へと繋がる街道が交差する場所にあり、尚且つ私達が先に訪れた二か国の他にも特徴的な国と国境を接している故に、商業の街として発展した。
    ……のは良いんだけど。
   「商品の質は悪くないんだけど……高いわね」
    流石に暴利とまでは言わないけれど、相場よりはかなり高めな強気の値段設定の商品がデフォルトな国だった。
    ――裕福な者達は良いだろう。
    少なくとも粗悪な品では無いし、むしろ高級店に並ぶ品は良品ばかりだ。
    何かと見栄を気にする者たちにとって多少高いくらいは気にならない。
    だけど、一般庶民が日常的に必要とするような品まで高い。一つ一つは些細でも、塵も積もればその負荷は相当だろう。
    故に、人々の富の格差が街を歩くだけて一目で分かる。
    そして。
    街行く人々は何というか……まるで獲物を探す肉食獣の様な雰囲気を大なり小なり纏っているのだ。
     飢えているというか余裕が無いというか……。ピリピリした空気が常にある。
     一部の貧しそうな人々以外は特にお腹を空かせている訳ではなさそうだし、街の喧騒に耳障りな騒音が混じる事もないのに、まるでそれが嵐の前の静けさの様な不穏を感じる。
    そんな国の教会は――とても綺羅綺羅しい建物であった。
    大きくはないけれど、相応に飾り立てられた貴族の別荘の様な豪奢な建物で。
    神職の者達は……
    「何だ、お布施も無しに何用だ?」
     とこちらが名乗るより先に牽制してきた。
     その後、私達の役目を知ると途端に「う、上には黙っていてくれ、金なら払うから!」とすがり付いてきた。
    「うわぁ、生臭坊主か。この世界じゃこの手の生臭坊主は初めて見たな……」
    うん。何というかこのところ長居したくない国ばかり連続している。
    「次こそはまともな国だと良いな……」
     なんて願いは、見事に裏切られる。
     次の国は、職人の国で。
     己の技術を誇るのは良いけど……ちょっと自己愛が強すぎ……というか他人に優しくないというか……。
     ライバルと言うには度の過ぎた競争のせいで常にギスギスした国だった。
    「……何かさ、俺、ここんとこ中二病患者が好きそうなワードが頭ん中から離れてくれないんだけど」
    「そうね。色欲、暴食、強欲、傲慢……。後は怠惰と嫉妬と……もう一つ、何だっけ?」
    「七つの大罪って諸説あるけど……最もポピュラーなのだと確か憤怒……だったと思う」
    「これは……。確かに放っとくとマズい気がするわ」
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