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魔王対策

大陸一周の旅

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    「……あれが」
    「ダムフール大陸……」
    エルシー大陸を後にして数日後。
    ダムフール大陸がようやく水平線上に青くそのシルエットが浮かび、次第にはっきりくっきり見えるようになりながら、その影は大きくなっていく。
    私達がダムフール大陸の玄関口とする国の名はフレール。
    軍港を持つ海軍国家であるらしい。
    ……一応陸軍はあるようだけど、海軍のおまけ部隊といった扱いで、その勢力差は名前こそ同じ階級の肩書きであろうとも、警察庁キャリア組と地方警察署の所轄署管轄の交番勤務のお巡りさん位の差があるらしい。
    政治体制は王政だけれど、王になるのは海戦で多く功績をあげた者とされ、所謂“王家”が存在しない。
    毎年開催される船上の武術大会で優勝した者が王となる。
    そんな国ゆえに、港へ近づくと即座に巡視船が寄ってきた。
    この国の船ではないから、海上で入国審査が行われるのである。
    ここで逃げたりすれば即座に攻撃されるし、怪しいそぶりを見せれば尋問も厳しくなる。――勿論基本的には魔道具を設置しに来ただけの私達に疚しいところはない。
    取り敢えずエルシー国の許可証を見せて、訪問理由を説明する。
    「この通り神々の神託を授かり、エルシー国の許可を得て、この国の教会を訪ねたいのです」
    「ついでに貿易交渉など出来るなら幸いですが、最低限本題さえ済ませられれば我々はすぐに隣国へと参ります」
    「――念のため、我が国の王へと確認をとる。このまま少々待たれよ」
    「勿論ですわ」
     ――程なく、巡視船から大砲が放たれ、空に色付の煙が数色流れた。
    それからしばらくの後、今度は陸から大砲の音が空を裂いて響き渡り、同じ様に空に色の付いた煙が流れて消える。
    「我が国は、そなたらの入国を歓迎する。そちらの用事が済み次第、王が会食に招きたいと仰せである」
    「ありがとうございます。是非伺わせていただきます」
    港のギルドで付近の地図を調べて教会のありかを調べ、私達はグリフィン車の旅に出る。
    ……寝起きは船や城でするんだけどさ。
    教会は、最低限の説明だけしてエルシー国の許可証を見せれば大した問題も起きずに魔道具を設置させてくれる。
    ――正直、移動時間が勿体なく面倒だけど、実に簡単なお仕事だ。
    その移動時間とて交代で船や城で仕事なり自由時間にあてられるのだから、たまに現れる自国周辺では珍しい魔物の討伐や採集等ついつい冒険者稼業をしていた頃に気分が戻る。
    数日かけて仕事を終え、港の船へと戻ると、待っていたように――というか実際待っていたんだろうけど――使者が招待状を持って現れた。
    明日の昼。この国の王との昼餐会の予定が決まった。
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