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国王のお仕事

遅れてきたお約束

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    その姿は、一応見たことがあった。つい今しがた見たばかりの顔もある。
    あの像は結構写実的に再現されていたらしい。
    属性神が五人、白い部屋に降り立っていた。
    「それで、どんなご用で俺を呼んだんです?」
    そんな彼らにカイルは努めて冷静に切り込んで行った。
    「それも俺だけでなく両親まで。……俺一人で聞くんじゃ何か問題でもありましたか?」
    「うーん、問題って言うか……、本当はアンリにお願いするはずだったんだよ、これ」
    「だけど、転生の時にうっかりここへ呼び出す手順を間違えてスルーしちゃってさ」
    「お願いするどころかチート能力も授け損なっちゃって……」
    「え、でも私『クリエイト』ってチートスキル持ってますけど……?」
   「ああ、それは君自身の実力を僕たち含めた神々が評価した結果だから」
    ……この世界のスキルは神眼石を通じて神界に報告される情報を元に神々の評価の結果与えられるものらしい。場合によっちゃスキルの剥奪なんて事も無くはないのだそうだ。
    「だから今度こそって転生させた子には僕達の加護を与える事は出来たけど、この部屋にはやっぱり上手く呼べなくて……」
   「色々試行錯誤してみたけど、結局人間に頼んで呼び出して貰うのが一番早かったねぇ、って話で……」
   「だからさ、ちょっと遅くなったけど、チートスキルをあげるから僕達のお願いを聞いて!」
    つまり。転生者の私達がこのお約束をスルーされたのは神様達の手違いによるもので、改めてお願い!    ……と、こういう事らしい。
   「一応、聞くだけ聞こうか。そのお願いって何なんだよ」
    うん。そだな。チートスキルをくれるって言われても、必要以上に大変な仕事をさせられるようならそんなモノ要らないもんな。
    「それは勿論、異世界召喚&転生の定番、『魔王退治』さ!」
    ……その言葉を聞いた瞬間、その相手が神だと知りながら、ついつい胡散臭い壺売り商人を見るような目になってしまったのは、もう仕方の無いことだと思う。
    見ればカイルも似た様な顔になっていたしね。
    レイフレッドだけは「定番」とか「お約束」等の言葉ワードが理解しきれず眉間にシワを寄せる程度に留まっていたけれど。
    改めて確認しよう。
    この世界には人間と獣人、そして魔族が存在する。
    だけど、獣人も魔族もちょっと人種が違う程度で互いに子供が作れる程度の差だ。
    国によっては種族差別があるところもあるけれど、あまり極端にやり過ぎるとエルシー国から「待った」がかかり、指導が入る。
    どの種族もチンピラだの賊だのといった者は居るけれど、せいぜいが軍が討伐に乗り出せば大概が壊滅する。
    先日の闇ギルドの件は厄介だったけれど、それだって『魔王』なんて大それたワードに触れるような存在じゃなかったのに。
    「……は?」
    だから、ついつい「お前何言ってるか分かってるか?」ってスタンスで睨み付けちゃったのも、私のせいじゃないからね!
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