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国王のお仕事

再度エルシー国へ

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    「……本当に今さらだよね」
    話を聞いたカイルは開口一番そう切って捨てた。
    「一体何の用があるんだか知らないけど……。少なくとも国に迷惑がかからないといいなぁ」
    「もー、何言ってるの!    勿論国も大事だけど、一番大事なのはカイルなんだから、それ忘れないでよ!」
    「そうだよ!    そもそも国際会議にかける前にカイルの意向を聞くべきだと思わねぇ?    なのに先に会議で暴露って、俺らの国が新興で小国だって思われて、連中に逆らえないって思われてるからだろ?    そんなん悔しいじゃんか!」
    カイルとしてはポロっと溢しただけの呟きを拾って大いに心配する姉兄達に、嬉しそうに笑った。
    ――そして、かの国からの使者が再びこのレイリールを訪れたのは、国に帰って一月後の事だった。
    それは、マルクニアから空間伝いにではなく馬鹿正直に正規ルートで帰ってきていたなら到着してすぐに使者と対面する事になっていただろう、そんなタイミングだ。
    こちらの都合など一切省みないと言わんばかりに、使者はまた慇懃無礼に宣った。
    「一月後、先日のマルクニアの港でお待ち下さい。船でお迎えにあがります」
    やっぱりこちらの都合などお構いなしだ。
    ……だけどまぁ、前回は世界会議だと言うから多少遠慮してやったけど、今回はそんなつもりはさらさらない。空間魔法を目一杯使って自由に行き来してやる。
    「畏まりました」
    マルクニアまでだって空間伝いなら一瞬で行けてしまうのだから、一月はゆっくり仕事が出来る。
    アンリ達はさっさと使者を帰して日常に戻った。
    ――そして、一月後。
    港の桟橋には、あの大船への連絡船として使われていた船より一回り大きな船が停泊していた。
    「お待ちしておりました。――ご案内致します」
    今回この船に乗るのは、エルシー国の関係者を除けば私達だけだ。
    私とレイフレッド、そして姉弟達。加えて前回に引き続き外務大臣と、宰相にも来て貰っている。
    何かあればいつでも空間伝いに国へ戻れると分かっているからの同行だ。
    今回、いつまでの滞在と期間を区切られなかった。何時帰れるか分からない旅に、王族全員に加えて首脳陣を同行させてしまえば国政は大ダメージを食う。
    だからか、あちらは驚愕の表情をしていたけど、カイルは私達の大事な息子なのだ。最高の布陣で臨まなければならない。
   「お願い致しますわね?」
    だから、敢えて余裕の笑みを浮かべて見せた。
    覚悟して下さいね?
    これでロクでもない用件だったら只じゃ済ましませんから!
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