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領主のお仕事

弟フィーバー!

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    「うわっ、可愛い!」
    休みに帰って来た子供達に囲まれる、新たに生まれた弟は、騒がしい兄弟に大きな目をぱちくりさせて興味津々に彼らの顔を順に眺めていた。
    カレンが生まれたとき、辛うじてレイリアは物心ついていたものの、双子は反抗期真っ最中で大変な時だったから、こうしてみんな揃って赤ん坊に構うなんて初めての事だった。
    そしてその頼りなく見える赤ん坊が、上の姉兄達の庇護欲を激しく刺激してしまったらしい。
    久しぶりの赤ん坊に慣れた様子のレイフレッドに教わってオムツを替えたりあやしたりと一生懸命お世話をしてみたり。
    お小遣いで赤ちゃん用の玩具を買ってきてみたり。
    我が家に弟フィーバーが訪れたのだった。
   「カイル~!」
    皆で弟の名を呼び可愛がる。
    正直、私が母としてやるべき事が授乳しかない。他のお世話は競うようにして他の姉兄達がやってしまうか、いつの間にかレイフレッドが済ませていて。
   「お母様、カイルお腹空いたって~!」
    と呼ばれる始末だ。
    とっても楽だけど……これで本当に良いのか少しばかり悩むところだ。
    いやまぁ、子供達は休みが終われば学校へ戻るんだけどさ。
   「良い経験になるから良いんじゃないか?    俺はレイリアが生まれてすぐの頃なんか赤ん坊の世話なんかした事が無かったから、何して良いか何でも聞かなきゃ分からなかったんだ。今の内に知って、経験もできるって良い機会じゃないか」
    ……まぁ、そうか。私もレイフレッド同様に赤ん坊どころか子供の世話なんてしたこと無かったから大変だったもんなぁ。
   「魔の三歳児を相手にフィーバーを続けられるようなら……いつ結婚して子供出来ても大丈夫か」
    レイフレッドの言葉に頷いたら、レイフレッドが泣いた。
    「結婚……子供……」
     息子はともかくやはり娘の結婚はまだ考えたくないらしい。……少なくともレイリアはもうカウントダウンが確実に始まっているのに、中々往生際が悪い。
   「ほらほら、政務頑張って!    ……実際、何とかしなきゃいけない事案があるでしょう?」
   「う……、はい……。それについては子供達からもせっつかれましたから最優先でやってますよ……。なかなかこれと言った成果が出ないのが辛いですが……。マティス様も良くやってますよね」
    「何か特別なスキルを持って隠れてるとか?」
    「からくりの手掛かりでもあれば良いんですか、難しいです」
    「……うん。頑張ろう」
    全く過去の亡霊だけでも厄介なのにね。
    一体何の得があってあんな不良物件に関わるのか聞いてみたいわ。
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