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領主のお仕事

おめでたです。

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    「……は?」
    私はその時医者に言われた診断結果に思わずそう聞き返していた。
    「だからね、妊娠してますよ」
    ……結婚してまだ半年、だよね?
    「三ヶ月ですね」
    いやまぁ毎晩の様にイチャイチャしてりゃそら出来るよなぁ……。
    つまり最近の体調不良はつわりだったと。
   「アンリ様、少し――いえ、いい機会なので少し仕事調整しましょうね?」
    子供が出来たのが嬉しいのが半分、私の体調が心配なのが半分。
    そんな感じで複雑そうなレイフレッドに釘を刺されてしまい、工事にしろ政治向きの話にしろちょっとセーブする事になってしまった。
   「いやいや、充分だからね?    お嬢様のは色々無茶苦茶だって知ってるでしょ?」
    と、現場の作業員さんにも言われちゃったら仕方がない。
    吸血鬼のハーフかぁ。レイフレッドに似た子だと良いなぁ。
   「吸血鬼は長命種だから……子供は出来にくいはずなのにねぇ。……相性とかタイミングが合ったのかねぇ?」
    シリカさんには呆れた様に祝われた。
    一応ウチの両親にも妊娠を伝えたけど。
   「ええっ、私もうおばあちゃんになるの!?」
   「僕まだ未成年なのに叔父さんなの!?」
    って驚かれました。……気にするのはそこかよ!
   「まぁ……子育て頑張んなさい」
     と、お父様には無難な返答をいただきましたけれどもね?
    それにしても。
    妊娠が分かってからレイフレッドが超絶過保護化しました。
    元々結婚しても従者属性が抜けきれず、色々お世話されてたんだけど……。
     今は彼自身貴族で私の夫なのに、荷物は全部持ってくれるし何処へ行くにもエスコートしてくれる……位ならまだしも、何かと言うとあわあわしているので、一度落ち着けと雷を落としたら、いつの間にか完璧執事モードになってました……。
    子供が生まれたらもう少し落ち着いてくれるかな……?
    まぁ、無関心とか妻を蔑ろにする旦那よりかは数百倍マシなんだけどね。
    夜の生活もピタリと止んで、十月十日。
    まだ冬の寒さが微妙に残る春の日の夜に陣痛が始まった。
    いや、聞いてはいたけどめっちゃ痛くてうんうん言ってたんだけど。……それ以上にレイフレッドがまたあわあわしてたから、やっぱり「落ち着け!」と雷落として静かにさせて、そのまま立ち会わせて産んだ。
     ……陣痛始まって二日かかったけどね!    いや、マジ死ぬかと思いましたよ。あ、生まれた子は女の子だった。レイフレッドが泣きながら抱っこしてたけど。
    お母さんにも来て貰ってたのに出番が殆ど無かったくらいレイフレッドが付きっきりだったからね……。まぁ、いいパパにはなりそうだから……良いか。
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