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新領主誕生

土木工事

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    「風よ、凪ぎ払え!    風刃!」
    私は領地の小山の上に立っていた。
    そこから魔法を使い、まずは邪魔な木々を風の刃で薙ぎ倒す。
    「おぅし、お前らとっとと運べぇ!」
    難いの良い男達が立派に育った木々を一生懸命運び出している間に、私は次の魔法を繰り出した。
    「穴を穿て、掘削!」
    深い縦穴を掘り進め――水を出した。
    「穴を穿て、掘削!」
    掘った井戸の周囲だけ残し、さらに小山を広く掘り返す。井戸の四隅に穴を穿ち泉を作る。――さっき出した水が貯まりきるにはまだ一日以上かかりそうだけど……。
    その作業をしている内に、私が伐採した木々はまとめて積まれ山になっていた。あれらは今後家を建てたりするのに使う貴重な建材だからね、しっかり確保しておいて貰うとして。
    「焼き払え、炎蛇!」
    残った切り株を焼き払う。
    更に泉の四隅に穴を穿ち、その先の水路の一部を掘り進めた後に、岩で壁面を強化し舗装する。
    城を建てるだけのスペースを確保し、改めて事前に描いた設計図を詳細に思いだし――魔力を放つ。
    まずは強固な城壁と城門を造り、泉の向こうへ続く跳ね上げ橋をかける。
    更に石造りの城を造り上げ――
   「んなっ……!」
   「こ、こりゃ凄ぇ!    こんなの見た事ねぇぞ!?」
    そんな皆の歓声の中、城の外見だけは完成した。……中も、部屋割りなんかは完全に出来てるハズだけど……調度品とかまではね、流石に魔法じゃどうにもならないから職人さんを呼んだわけで……。
    「お仕事、お願いしますね?」
    「あ、ああ……」
     呆けきっててちょっと大丈夫かしら、と思わなくもなかったんだけど……。そこは職人。仕事を始めればシャキッとして働き始めた。
    私は流石に一休み。
    レイフレッドに用意して貰ったお茶とお菓子を頂いてちょっと のんびりする。
     ――次は城下町だ。
    先程作った水路の続きを造り、こちらも岩で補強、町中に水路を張り巡らせる。
    街の区画を整理し、鉄道や車道、歩道と作り分けていく。街の周りにまた塀を巡らせ、堀と言う名の水路を造り、塀を作る。
    出来上がった区画から職人が手を入れ建物の建築を開始する。――公共の建物の外観は私が先に作った設計図通りに作るけど……流石に個人宅は……ね。各自で依頼して貰っているからね。
    ――とは言え一日目はこれで終了。
    まだ未完成だけど、一応街らしくはなった……かな?
    「十分過ぎますよ。一年分の工事がたった一日で終わるなんて……」
    呆れた様に言うのはレイフレッドだ。
   「何言ってるの、まだまだこれからよ!」
    そう。まだ城下町の整備の途中でしかないんだから。
   「明日も頑張るよ!」
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