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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

一つの決着

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    「……と言う訳ですが」
    ざっくり揃えた証拠を盾に攻めこんでみました。――効果は抜群です。うん、よく効いた。
    「何か反論はありますか?」
    「ぐぅ……」
    「ちっ!」
    二人ともこちらを睨むばかり。
    「ふむ。これだけの証拠があるなら爵位剥奪が妥当であろうな。手続きは城に戻ってからするとして……。明日にはお前達は平民だ。早々に屋敷を片付け相応しい住みかを見つけて出ていくのだな」
    「あ、ウチには来ないで下さいね?    婚約は今さっき破棄されてますから」
    とにっこり笑ってやれば、彼らは絶望の表情を浮かべた。
    「取り敢えずその者達は外に摘まみ出せ」
    陛下の命令で彼らは会場の外へ放り出された。
    「さて、余興は済んだ。パーティーの続きを楽しもうじゃないか」
    陛下の言葉に音楽が再開される。
   「……お嬢様、踊りませんか?」
   「そうね」
    レイフレッドに誘われフロアに立つ。彼のリードで踊り出せば、周囲の注目を浴びる。
   「皆さん、フリーになったお嬢様に粉かけたいんでしょうね」
   「ふふ、とっくに売約済みなのにね?」
   「全くです」
    彼の赤い瞳が柔らかく微笑む。
    くるり、くるりと円を描くように躍り、そして曲が終わって……。
    「お嬢様、これを受け取って下さいませんか?」
     躍りの輪を抜けたそのタイミングでレイフレッドが小箱を取り出し差し出してくる。ぱかりと開けたその中にあるのは――
    「指輪?」
     金のリングに赤い石を嵌めた指輪。
    「――婚約指輪を、受け取って下さいませんか?」
    「ええ、勿論。ありがたくいただくわ」
     その答えを待っていました、とばかりに彼はするりとリングを私の左の薬指に嵌めた。
    「ふふ、ありがとう」
    「どういたしまして」
    笑い合う私達の背後で、密かに涙する男女が居たとか居ないとか……。うん。私は知らないっ!
    「納まるべき所に落ち着いた……という事でいいのかな、これは?」
    苦笑しながら殿下達が近付いてくる。
   「端から見れば明らかに彼より仲が良かったからね、君達は」
   「婚約者の居る身ではあまり誉められた事じゃありませんでしたけど……、肝心の彼はああでしたからね……。それでも、とレイフレッドさんを狙っていた令嬢はそれなりに居たのですが、ね」
    「ディアナ様にはお父上共々お世話になりまして……。今後とも馴染みとしてご愛顧いただければと思いますわ」
    「それで、上級学校はどうするんだい?」
    「レイフレッドは初等部のうちに済ませているんですが、私も三国それぞれ一年ずつ回る事になっています」
    「では、初年度は……?」
    「このヒューリアの皇都の上級学校への入学が決まっていますの」
   「そうか。――頑張ってくれ」
   「はい。ありがとうございます、殿下」
    そうして私は初等部を卒業したのだった。
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