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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~
冬イベント回収
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「……疲れた」
「はいはい、でもこっちは書き入れ時なんだから、だらけてないで働いて!」
「う……」
ようやく試験も終わり、冬休み――と思えば、師走と言うだけあって、年の瀬で忙しい疾風の牙商会の仕事に追われ、あたふたする羽目になった。
新しい事を始めなくとも、大きくなった商会の面倒を見るのは楽な仕事じゃない。
……これでも私たちに来る仕事を最小限にまで絞ってこれなのだから。
「年明けの〝福袋〟なんて企画をぶち上げたんだ、頑張れ」
「秋からはシレイド貴族からの問い合わせが増えている。良い傾向だと思うぞ?」
年末は忙しくしても、その分年明けは休む。そんなところは日本と変わらないこの世界で始める〝福袋〟企画は、全く何も変わらないでは良くないと考えた末のアイデアだったんだけどね。
これがまぁ、ウケまして。これは、来年から真似する店が増えるぞ、と皆と笑いあって、〝忙しい〟以外の問題もなく年末年始商戦は終了した。
あ、クリスマスと初詣イベントはちゃんとこなしましたよ!
……クリスマスはケーキとごちそうを食べておしまいだったけど、初詣はレイフレッドと教会へ行った。
願いは勿論「奴と無事婚約破棄できますように」だ。
他、レイフレッドの領地(予定)で土木工事に勤しんだりしながら過ごして冬休みを終えた。
始業式を終え、三学期が始まる。
一先ずは静かなまま、このまま過ぎれば良いな……と、思いつつ過ごしていたんだけどね。
事件はバレンタインに起きた。
私は下旬で朝一にレイフレッドに進呈して出掛け――恋愛ゲームだったからチョコの持ち込みは特に制限されてないけど、ヒロインちゃんはそれぞれの下駄箱にチョコの袋をぶら下げた。
……お貴族様が多い学校だけあって、直接手渡しが原則なのです。こんな怪しげな渡し方する人はまず居らずに破棄された。
その翌日。
「おい、アンリ!」
忌々しげに私の教室へやって来たのはビルと、その腕に絡まるアリス。
「お前、アリスのチョコを捨てたそうじゃないか!」
「……は?」
破棄を決めたのはそれぞれ個人の判断だし。実際にゴミ捨て場へ持っていったのは係員。
私は一切関わっていない。
「直に渡せば良いものを、あのように放置するからでしょう」
その旨を説明した後そう突っぱねた。
「相手は王子殿下なのですよ。不審な物に手を付けられる訳がないじゃないですか」
「……っ、」
その正論に反論できずに私を睨み付けてから出ていくビル。
……ああ、面倒臭い。
「もうほぼ首は絞まってるハズなのにね。なかなか根を上げないんだよ」
困った様に笑う王子。
――学年末試験で今学年全ての試験を首席で制覇し、三学期を終えたのだった。
「はいはい、でもこっちは書き入れ時なんだから、だらけてないで働いて!」
「う……」
ようやく試験も終わり、冬休み――と思えば、師走と言うだけあって、年の瀬で忙しい疾風の牙商会の仕事に追われ、あたふたする羽目になった。
新しい事を始めなくとも、大きくなった商会の面倒を見るのは楽な仕事じゃない。
……これでも私たちに来る仕事を最小限にまで絞ってこれなのだから。
「年明けの〝福袋〟なんて企画をぶち上げたんだ、頑張れ」
「秋からはシレイド貴族からの問い合わせが増えている。良い傾向だと思うぞ?」
年末は忙しくしても、その分年明けは休む。そんなところは日本と変わらないこの世界で始める〝福袋〟企画は、全く何も変わらないでは良くないと考えた末のアイデアだったんだけどね。
これがまぁ、ウケまして。これは、来年から真似する店が増えるぞ、と皆と笑いあって、〝忙しい〟以外の問題もなく年末年始商戦は終了した。
あ、クリスマスと初詣イベントはちゃんとこなしましたよ!
……クリスマスはケーキとごちそうを食べておしまいだったけど、初詣はレイフレッドと教会へ行った。
願いは勿論「奴と無事婚約破棄できますように」だ。
他、レイフレッドの領地(予定)で土木工事に勤しんだりしながら過ごして冬休みを終えた。
始業式を終え、三学期が始まる。
一先ずは静かなまま、このまま過ぎれば良いな……と、思いつつ過ごしていたんだけどね。
事件はバレンタインに起きた。
私は下旬で朝一にレイフレッドに進呈して出掛け――恋愛ゲームだったからチョコの持ち込みは特に制限されてないけど、ヒロインちゃんはそれぞれの下駄箱にチョコの袋をぶら下げた。
……お貴族様が多い学校だけあって、直接手渡しが原則なのです。こんな怪しげな渡し方する人はまず居らずに破棄された。
その翌日。
「おい、アンリ!」
忌々しげに私の教室へやって来たのはビルと、その腕に絡まるアリス。
「お前、アリスのチョコを捨てたそうじゃないか!」
「……は?」
破棄を決めたのはそれぞれ個人の判断だし。実際にゴミ捨て場へ持っていったのは係員。
私は一切関わっていない。
「直に渡せば良いものを、あのように放置するからでしょう」
その旨を説明した後そう突っぱねた。
「相手は王子殿下なのですよ。不審な物に手を付けられる訳がないじゃないですか」
「……っ、」
その正論に反論できずに私を睨み付けてから出ていくビル。
……ああ、面倒臭い。
「もうほぼ首は絞まってるハズなのにね。なかなか根を上げないんだよ」
困った様に笑う王子。
――学年末試験で今学年全ての試験を首席で制覇し、三学期を終えたのだった。
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