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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~
調査依頼
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それから一気に忙しくなった。
ほぼ隔日で生徒会の会合があるし、部の方の集まりも毎日遅くまである。
授業内容もだんだん難しくなってくるし、クラスで合唱の練習も始まった。
……既に単位の大半を取得済みで時間に余裕がなかったら、流石に忙しさの余り叫び出したくなってたかもしれない。
そんな状況で、私は度々空間伝いにある場所へと定期的に赴いていた。
「今日もビル様はお屋敷から一歩も出ていませんですにゃ」
「子爵様は一日お屋敷にお戻りになりせんでしたにゃ」
「奥様は日中は茶会、夜には夜会に出掛け、お屋敷には寝に帰っただけでしたにゃ。けど、明日には商人を呼んで買い物の予定を執事に申し付けてましたにゃ」
語尾がたまらなく可愛いこの子達はケットシー。
男の子も女の子もいる、可愛いマスコット猫達。
人型になれば中高生くらいの見た目と背丈があるけど、猫型のままなら手乗りサイズ。実年齢はこう見えて職人ギルドのギルマスやってる私のお祖父様と大して変わらない。
ケットシー的には一応子供は卒業して大人扱いされるけど、結婚とかするにはまだ早い、大人見習いな時期の子達を集めて何をさせているのかと言えば……。
「ありがとう。今月いっぱいはこのまま見張りをお願いするわ」
「任せて下さいにゃ」
……言葉は悪いが、婚約者様のあら探しの為の隠密をお願いしている。
勿論、ちゃんとお金を払っての正式な依頼です。この子達は日本で言えば探偵みたいなプロですよ。
まぁ、この子達が人間の国まで出張っての仕事はまず無いんだけど。
それでもこの子達に依頼したのは、このシレイドでは人間以外の存在をすこーんと忘れがちだから。
小さな身体を生かしてどこでも出入りできるこの子達なら割りと安全にお屋敷を探り放題なのだ。
勿論これが魔族の国ならこうはいかない。相手も相応に警戒して対策もしてるからね。
けど、この子爵家含むこのシレイドでは人間を想定した警戒や対策はしても、それ以外の存在を想定なんかしない。
それでも念のためと最初の一月は彼らの行動パターンを探るだけに留めている。安全な時間帯とか怪しい場所を絞り込んだら、また別の子にも協力を依頼して絶対に有力なネタをゲットするんだ。
……それにしても。
「一応家庭教師はつけてるみたいだけど、それもサボってるって……。卒業する気あるのかしら?」
別に絶対にウチの学校を卒業しなきゃいけない訳じゃないけど、少なくとも同程度の学歴か能力の証明がなければ貴族としての就職なんか望めない。
――私から金を絞り取れば生活だけは出来るだろうけど。流石に何一つ貴族としての役目を果たさないとなれば爵位剥奪されるよ?
爵位を無くせば奴らは平民だ。そうなればこちらも大人しく従う必要は無くなる。
……その辺り、やっぱりあの男は理解出来ていないらしい。
そこだけは理解している子爵は最低限の領地経営と登城はしているからな……。その能力がいかに残念なものでも、爵位剥奪までには至らない。
外で遊び歩いているから、まだ息子の愚行に気付いていないみたいだけど。……気付けば息子を殴り飛ばすだろう。そしてこんこんと言い聞かせるだろう、私の必要性を。
――本格的に探りを入れる前にやっぱりこの親子の接触を妨害する必要がありそうだね。
どうするかなぁ……。
ほぼ隔日で生徒会の会合があるし、部の方の集まりも毎日遅くまである。
授業内容もだんだん難しくなってくるし、クラスで合唱の練習も始まった。
……既に単位の大半を取得済みで時間に余裕がなかったら、流石に忙しさの余り叫び出したくなってたかもしれない。
そんな状況で、私は度々空間伝いにある場所へと定期的に赴いていた。
「今日もビル様はお屋敷から一歩も出ていませんですにゃ」
「子爵様は一日お屋敷にお戻りになりせんでしたにゃ」
「奥様は日中は茶会、夜には夜会に出掛け、お屋敷には寝に帰っただけでしたにゃ。けど、明日には商人を呼んで買い物の予定を執事に申し付けてましたにゃ」
語尾がたまらなく可愛いこの子達はケットシー。
男の子も女の子もいる、可愛いマスコット猫達。
人型になれば中高生くらいの見た目と背丈があるけど、猫型のままなら手乗りサイズ。実年齢はこう見えて職人ギルドのギルマスやってる私のお祖父様と大して変わらない。
ケットシー的には一応子供は卒業して大人扱いされるけど、結婚とかするにはまだ早い、大人見習いな時期の子達を集めて何をさせているのかと言えば……。
「ありがとう。今月いっぱいはこのまま見張りをお願いするわ」
「任せて下さいにゃ」
……言葉は悪いが、婚約者様のあら探しの為の隠密をお願いしている。
勿論、ちゃんとお金を払っての正式な依頼です。この子達は日本で言えば探偵みたいなプロですよ。
まぁ、この子達が人間の国まで出張っての仕事はまず無いんだけど。
それでもこの子達に依頼したのは、このシレイドでは人間以外の存在をすこーんと忘れがちだから。
小さな身体を生かしてどこでも出入りできるこの子達なら割りと安全にお屋敷を探り放題なのだ。
勿論これが魔族の国ならこうはいかない。相手も相応に警戒して対策もしてるからね。
けど、この子爵家含むこのシレイドでは人間を想定した警戒や対策はしても、それ以外の存在を想定なんかしない。
それでも念のためと最初の一月は彼らの行動パターンを探るだけに留めている。安全な時間帯とか怪しい場所を絞り込んだら、また別の子にも協力を依頼して絶対に有力なネタをゲットするんだ。
……それにしても。
「一応家庭教師はつけてるみたいだけど、それもサボってるって……。卒業する気あるのかしら?」
別に絶対にウチの学校を卒業しなきゃいけない訳じゃないけど、少なくとも同程度の学歴か能力の証明がなければ貴族としての就職なんか望めない。
――私から金を絞り取れば生活だけは出来るだろうけど。流石に何一つ貴族としての役目を果たさないとなれば爵位剥奪されるよ?
爵位を無くせば奴らは平民だ。そうなればこちらも大人しく従う必要は無くなる。
……その辺り、やっぱりあの男は理解出来ていないらしい。
そこだけは理解している子爵は最低限の領地経営と登城はしているからな……。その能力がいかに残念なものでも、爵位剥奪までには至らない。
外で遊び歩いているから、まだ息子の愚行に気付いていないみたいだけど。……気付けば息子を殴り飛ばすだろう。そしてこんこんと言い聞かせるだろう、私の必要性を。
――本格的に探りを入れる前にやっぱりこの親子の接触を妨害する必要がありそうだね。
どうするかなぁ……。
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