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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~
研修 ~最終日~
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「……お前達は……その、恋仲なのか?」
――YESともNOとも答えにくい問いを、帰途につく馬車の中で発したのは第二王子殿下でした。
まぁね。あの噂を聞いたのならそう思いたくなるのは無理ないよね。
実際、公式には認める訳にいかないけど……この婚約破棄が上手くいけば――とお互いに思っているのだから。
「いいえ。彼とは仲の良い幼馴染みで、優秀な従者であり部下で、頼りになる相棒ですわ。――私には婚約者がおりますから」
けど、あの男が居る以上はそれを認める訳にいかないのだ。当然否定する。
――今日はクラスの馬車に乗り込んでの旅路な為、レイフレッドは別の馬車に乗っている。
ただ、生徒会役員の私達は、一週間分の荷物だけで良かった他生徒に比べて圧倒的に多い為、荷物だけは生徒会メンバー用の馬車に乗せている。
だから、往路と同じくこの馬車は他の馬車に比べて荷物分の余裕がある。
だけど、対面に座ってじっとりした目で見られるとどうしてもそわそわしてしまう。
なんたって攻略対象なんだからね!
しかもスケカクみたく両脇にお供のやっぱり攻略対象な二人を並べて、イケメンオーラ全開で来られた私の身にもなって!
勿論私はレイフレッド一筋ですけど!
私のイケメン耐性は未だ紙のままらしいです……。
「……まあ、現状ではそう答えるよな、当然」
涼しい顔で言いますけど……、アナタ私の言葉をハナから疑ってませんか? ――まぁ実際嘘ですけどね?
「王家の者としては、あのような浅慮な者がつけあがるきっかけになりそうな婚約より、国として有意義な繋がりを築けそうな彼の者と縁を結んでくれると有り難いのだがな?」
「それを、平民である私に仰いますか……」
「あれに直接言ってしまうと王家による貴族領に対する内政干渉と後ろ指をさされかねないのでな。……が、先日の礼として受け取ったアレは大変役に立った。その分、裏で暗躍するくらいの手助けくらいはしてやっても良いぞ?」
「――ちなみにその見返りは?」
「ヒューリア皇帝を始め各国皇帝以上に優遇しろとは言わない。いやむしろするな。……が、将来の兄上の治世の後ろ楯となっていただく」
「……?」
「将来生まれるだろう兄の子とそなたらの子を許嫁とする」
「――私と彼の間に生まれる子は間違いなく半吸血鬼になりますよ?」
先日のあの光景を思い出しながら、私は渋い顔をする。
「……レイフレッドはかつてこの国の孤児院に保護され育てられていましたが、良心的な孤児院にもかかわらず、種族以外に問題もない彼を虐げていたこの国に、私が私の大事な子を渡すとでも?」
「縁さえ結べるのなら、こちらから婿なり嫁なり出すので構わない」
――これは、また。
「……それは王太子殿下の子でございましょう? 将来の王弟殿下がその様な事を言ってしまって宜しいので?」
「この話は既に昨日兄と話し合いの末に出した答えだ。後程王太子殿下に確認して貰って構わない」
……王族がここまで言い切るのを疑って本当に王太子に聞きに行ったら普通に不敬罪だろう。
「……この場ですぐのお返事は出来かねます」
「無論それは承知の上だが、是非ご一考願いたい」
……うん。婚約破棄に王族の後ろ楯が得られるのは心強いけど、代償がな……。自身ではなく子に押し付けざるを得ない辺り、私の二の舞にならないかの不安がある。
取り敢えずレイフレッドに相談しなきゃ……。
――YESともNOとも答えにくい問いを、帰途につく馬車の中で発したのは第二王子殿下でした。
まぁね。あの噂を聞いたのならそう思いたくなるのは無理ないよね。
実際、公式には認める訳にいかないけど……この婚約破棄が上手くいけば――とお互いに思っているのだから。
「いいえ。彼とは仲の良い幼馴染みで、優秀な従者であり部下で、頼りになる相棒ですわ。――私には婚約者がおりますから」
けど、あの男が居る以上はそれを認める訳にいかないのだ。当然否定する。
――今日はクラスの馬車に乗り込んでの旅路な為、レイフレッドは別の馬車に乗っている。
ただ、生徒会役員の私達は、一週間分の荷物だけで良かった他生徒に比べて圧倒的に多い為、荷物だけは生徒会メンバー用の馬車に乗せている。
だから、往路と同じくこの馬車は他の馬車に比べて荷物分の余裕がある。
だけど、対面に座ってじっとりした目で見られるとどうしてもそわそわしてしまう。
なんたって攻略対象なんだからね!
しかもスケカクみたく両脇にお供のやっぱり攻略対象な二人を並べて、イケメンオーラ全開で来られた私の身にもなって!
勿論私はレイフレッド一筋ですけど!
私のイケメン耐性は未だ紙のままらしいです……。
「……まあ、現状ではそう答えるよな、当然」
涼しい顔で言いますけど……、アナタ私の言葉をハナから疑ってませんか? ――まぁ実際嘘ですけどね?
「王家の者としては、あのような浅慮な者がつけあがるきっかけになりそうな婚約より、国として有意義な繋がりを築けそうな彼の者と縁を結んでくれると有り難いのだがな?」
「それを、平民である私に仰いますか……」
「あれに直接言ってしまうと王家による貴族領に対する内政干渉と後ろ指をさされかねないのでな。……が、先日の礼として受け取ったアレは大変役に立った。その分、裏で暗躍するくらいの手助けくらいはしてやっても良いぞ?」
「――ちなみにその見返りは?」
「ヒューリア皇帝を始め各国皇帝以上に優遇しろとは言わない。いやむしろするな。……が、将来の兄上の治世の後ろ楯となっていただく」
「……?」
「将来生まれるだろう兄の子とそなたらの子を許嫁とする」
「――私と彼の間に生まれる子は間違いなく半吸血鬼になりますよ?」
先日のあの光景を思い出しながら、私は渋い顔をする。
「……レイフレッドはかつてこの国の孤児院に保護され育てられていましたが、良心的な孤児院にもかかわらず、種族以外に問題もない彼を虐げていたこの国に、私が私の大事な子を渡すとでも?」
「縁さえ結べるのなら、こちらから婿なり嫁なり出すので構わない」
――これは、また。
「……それは王太子殿下の子でございましょう? 将来の王弟殿下がその様な事を言ってしまって宜しいので?」
「この話は既に昨日兄と話し合いの末に出した答えだ。後程王太子殿下に確認して貰って構わない」
……王族がここまで言い切るのを疑って本当に王太子に聞きに行ったら普通に不敬罪だろう。
「……この場ですぐのお返事は出来かねます」
「無論それは承知の上だが、是非ご一考願いたい」
……うん。婚約破棄に王族の後ろ楯が得られるのは心強いけど、代償がな……。自身ではなく子に押し付けざるを得ない辺り、私の二の舞にならないかの不安がある。
取り敢えずレイフレッドに相談しなきゃ……。
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