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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~
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その日、私達は校門前に整列していた。
これまではあちら側で点呼を取る役をしていたのに、今日は点呼を取る声に応える側にいる。
そして、これまでは生徒会メンバーの馬車に乗っていたけれど、今日はクラスの馬車に乗る。
……荷物だけは他のクラスメイトと違ってもう向こうに置いてあるけど。でも、うちのクラスは四人も生徒会メンバーが居るから他の馬車よりスペースに余裕がある。
レイフレッドとは馬車が別れてしまうけど……。向こうは大丈夫かな?
「すでに何度も行き来してはいるが……。引率する側ではなく参加する側となると、また気分も違ってくるな」
王子が外の景色を眺めながら呟く。
「最後は慣れましたけど、それでも責任はありますからね。往復の道中のトラブルはありませんでしたが、今年は既にとんだトラブルがありましたからね」
「ああ。アンリ、君とレイフレッド殿が生徒会メンバーとして同行していなかったら最悪の展開もあり得たろう。そうなればその後に予定されていたS・Aクラスの研修が行われたかどうか……。仮に行われていても大幅な予定変更はあっただろう。だが、こうして予定通り研修に参加出来るのは君達の活躍あってこそだ。……感謝する」
おお……、王子様スマイルいただきましたよ……。
「夜営研修も彼女達が居るのは色んな意味で安心だしな」
「ありがとうございます。……ですが、研修はあくまで皆さんの経験値を上げる為のものなんですから、頼りきりは止めてくださいね?」
この面子で何かあったら本当に怖いから、守るのは良いけど、それで学ぶべき事を学べなかった責任までは負えない。
「それは当然だろう。……まぁ、あの残念な男の供述調書には目を通させて貰ったから、君の気持ちは理解するが、あの様な男と一括りにはしないでくれ。私は国の為に学ぶべき事を疎かにする愚か者になるつもりはない」
「ですね。……あれはシレイド貴族の恥さらし。いずれ我らが権力を持った暁にはどうにかして排除したいものです」
「気持ち的には今すぐにでも、と言いたいところだが……。そうもいかないのが貴族の面倒なところだな」
「も、申し訳ありません」
「いや、分かってくれれば良い。先にも言ったが気持ちは分かるからな。……あれの婚約者などにされていては気苦労も絶えまい」
「……生まれる前からのお約束ですが、この学校に来る以前に顔を会わせたのは一度だけでしたから。本当に大変だったのはお父様で、私は好きにやらせていただいてましたから」
「その結果がそなたの功績なのであろう?」
「……一時期、子爵家が隣国のとある貴族の領地にやたらとちょっかいかけたがってたと父上から愚痴を聞かされたことがある。……あれはもしかしなくとも?」
「――だと、思います。一時期、ルクスドで色々学ばせていただきましたから。――重ね重ねご迷惑をおかけして申し訳ありません……」
「いや、それこそ君の謝る事ではないだろう」
……うん。どうやらあの子爵家潰して困る人は居なさそうだね。ただ、手の出し方を間違うと余計な火の粉が飛んできて下手すると大火傷するハメになりそうではある。
王子様達とそんな雑談を交わしながら幾度かの休憩を挟み、私達は宿泊施設に無事到着した。
これまではあちら側で点呼を取る役をしていたのに、今日は点呼を取る声に応える側にいる。
そして、これまでは生徒会メンバーの馬車に乗っていたけれど、今日はクラスの馬車に乗る。
……荷物だけは他のクラスメイトと違ってもう向こうに置いてあるけど。でも、うちのクラスは四人も生徒会メンバーが居るから他の馬車よりスペースに余裕がある。
レイフレッドとは馬車が別れてしまうけど……。向こうは大丈夫かな?
「すでに何度も行き来してはいるが……。引率する側ではなく参加する側となると、また気分も違ってくるな」
王子が外の景色を眺めながら呟く。
「最後は慣れましたけど、それでも責任はありますからね。往復の道中のトラブルはありませんでしたが、今年は既にとんだトラブルがありましたからね」
「ああ。アンリ、君とレイフレッド殿が生徒会メンバーとして同行していなかったら最悪の展開もあり得たろう。そうなればその後に予定されていたS・Aクラスの研修が行われたかどうか……。仮に行われていても大幅な予定変更はあっただろう。だが、こうして予定通り研修に参加出来るのは君達の活躍あってこそだ。……感謝する」
おお……、王子様スマイルいただきましたよ……。
「夜営研修も彼女達が居るのは色んな意味で安心だしな」
「ありがとうございます。……ですが、研修はあくまで皆さんの経験値を上げる為のものなんですから、頼りきりは止めてくださいね?」
この面子で何かあったら本当に怖いから、守るのは良いけど、それで学ぶべき事を学べなかった責任までは負えない。
「それは当然だろう。……まぁ、あの残念な男の供述調書には目を通させて貰ったから、君の気持ちは理解するが、あの様な男と一括りにはしないでくれ。私は国の為に学ぶべき事を疎かにする愚か者になるつもりはない」
「ですね。……あれはシレイド貴族の恥さらし。いずれ我らが権力を持った暁にはどうにかして排除したいものです」
「気持ち的には今すぐにでも、と言いたいところだが……。そうもいかないのが貴族の面倒なところだな」
「も、申し訳ありません」
「いや、分かってくれれば良い。先にも言ったが気持ちは分かるからな。……あれの婚約者などにされていては気苦労も絶えまい」
「……生まれる前からのお約束ですが、この学校に来る以前に顔を会わせたのは一度だけでしたから。本当に大変だったのはお父様で、私は好きにやらせていただいてましたから」
「その結果がそなたの功績なのであろう?」
「……一時期、子爵家が隣国のとある貴族の領地にやたらとちょっかいかけたがってたと父上から愚痴を聞かされたことがある。……あれはもしかしなくとも?」
「――だと、思います。一時期、ルクスドで色々学ばせていただきましたから。――重ね重ねご迷惑をおかけして申し訳ありません……」
「いや、それこそ君の謝る事ではないだろう」
……うん。どうやらあの子爵家潰して困る人は居なさそうだね。ただ、手の出し方を間違うと余計な火の粉が飛んできて下手すると大火傷するハメになりそうではある。
王子様達とそんな雑談を交わしながら幾度かの休憩を挟み、私達は宿泊施設に無事到着した。
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