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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

ダンジョン発見

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    依頼を受けた私達は、さっさと最低限の装備だけ整えて、すぐさま件の休憩場所となった地点まで急行した。
    団体でぞろぞろ列をなして登るお坊ちゃんの足と、鍛えた冒険者――装備のステータス補佐込みの足とでは速度は格段に異なる。ましてや、グリフィンの背に直乗りで空から駆けつければ数分とかからない。
    「さあ、問題はここからどこへ行ったかよね」
    こういう時、日本なら警察犬の出番だ。だけど生憎私は犬どころか嗅覚に優れた従魔はいない。
    ――そう、思っていたんだけど、ね。
   「……血の、臭いがします」
   レイフレッドがすんすんと辺りの空気の臭いを探る。
   「微かですが、嗅ぎ覚えのある血の臭いがします。……おそらくあの男の物でしょう。酷く臭いが薄いので、多分そこらの草木で指先でも切ったんでしょう」
    唯一血の臭いにかけては犬より鋭いレイフレッドが言うのなら、そうなんだろう。
    「臭い、追える?」
    「……何とか。少しでも臭いが残っているうちに、急ぎましょう」
    そう言って早足に歩き出しながらも、頻繁に鼻をすんすんと動かしている。
    レイフレッドが本気で駆ければこの様な山道でももっと早く駆けられるのに、これだけ慎重なのは、本当に臭いが微かなのだろう。
    この手がかりが潰えれば捜索は困難になる。
    ……発見が遅れれば、それだけあの二人の危険度は飛躍的に増していく。
    ゴブリンの相手でさえ、あの二人ではどこまで戦えるのか疑問だというのに、オークやオーガも出るような場所をふらふらするとか、本当にどういうつもりだったんだろう。
    お馬鹿なのは知ってたつもりだったけど、まさかここまでとは……。
    正直私に責任がかかってくる状況でさえなければいっそ見捨ててやりたい。
    私の知らない所で襲われてくれれば全ての面倒事がチャラになるのに。
    レイフレッドの背を追うように山道を駆けながら、どうしても黒い思考に引きずられる。
    レイフレッドが進むのは本来のコースからどんどん離れていく獣道だ。
    随分大型の獣が作った道のようで、道幅だけは本来のコースよりあるけれど、人の手で整備されていない分歩き易さには格段の差がある。……勿論獣道のが下なんだけど。
    どうして彼らはこんな道を行こうとしたのか。
    訳が分からないなりに、レイフレッドの邪魔にならないよう黙って歩くこと十数分。……私達の早足で十数分、だ。
    「……臭い、この中へ続いているようです」
    そこにぽっかりと口を開けた洞窟の入口が鎮座していた。
    けど、単に中が暗いだけ――では説明がつかない真っ暗闇で中の様子が全く伺えないこれは……。
   「このエリアにダンジョンがあるなんて情報、無かったわよね?」
   「ええ。おそらく最近出来たばかりの若いダンジョンなのだと思われます。それと……もしかしなくても先日の大鴉、このダンジョンを餌場にしていたのでは……」
   「――取り敢えず報告だけギルドに飛ばしておくわ。……素人がダンジョンに迷いこむとか……生存確率が一気に下がったわね」
    ああ、本当に面倒くさい。
    リルフィーに報告書を咥えさせ、ギルドに向かわせる。……伝書鳩代わりに使って申し訳ないけど、未知のダンジョンとか……魔力は少しでも温存しときたいからね。
    「……じゃ、行きましょうか」
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