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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~

波乱の幕開け

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    ……なーんて。儚い願いと知ってはいたけど。
    それでも、点呼などの割り振りをなるべく上級学校クラスへ割り振ってくれたり、部屋の担当もあの二人の居ない班の担当にしてくれたりと色々配慮してもらったり、前のCクラスのカリキュラムを元にイメトレしてた甲斐あって、三日目までは何事もなく過ぎていって、折り返し地点に辿り着いて少しホッとしていたから、その知らせは私を酷く落ち込ませた。
    ――曰く。山歩きの研修中、あの二人が行方不明になった、と。
    研修中の出来事だから、監視員は私達生徒会役員でなく教師陣だ。その知らせが届くまでは私達はギルドで最早日課になってしまった手合わせに付き合っていた。
   「……研修中は班ごとに分けて常に班長に教師への報告を義務付け、クラスごとに担当教師もつけて居たのだがな」
    しかしそこは均され舗装された街道ではなく、蛇行し段差や坂道もざらにある荒れた山道で、藪などの死角も、獣道との分かれ道も多い。
    勿論その事は事前の座学で散々講義を受けているはずだし、研修直前にも注意事項として教師達が口にしていた。
    「……あの方達は授業態度もあまり誉められたものではありませんでしたし、先の平原での研修の時もピクニックにでも来たかの様な危機感の無さでした」
    そして同じクラスの実行委員の子が疲れたように報告に来た。
   「班長にはくれぐれも注意してくれと頼んでいたのですが……。彼らも相当参っていまして……。力及ばずご迷惑をおかけして申し訳ありませんが、彼らへのお咎めがあるなら、どうか俺にお願いします」
    二人一緒にすると面倒だからと班を分け、それぞれの班長に注意を促した様だけど、いくら忠告しようとも、聞く耳を持たない相手では暖簾に腕押しだったろう。……それを咎められるとなれば確かに哀れだ。
    一回目の休憩終了時には班長と実行委員の子で二人が確かに居たのを確認し、教師もその報告を受けていた。
   二回目の休憩開始時には班長が点呼を取り、その後休憩終了時にまた実行委員の子と点呼を取ったところ二人が居なくなっていた、と。
    「つまり、その休憩時間中に居なくなった……?」
    「おそらく。そして、その休憩中に魔物が乱入する等といったトラブルは勿論なく、他に居なくなった者は居ません」
    「……要するに勝手に居なくなった可能性が高いのね」
    先日の大鴉騒動の影響は、研修予定地に限りほぼ無くなっているけど、棲息域を移動してきていた魔物達はまだ完全には元の縄張りに戻りきってはいない。本来の棲息域を外れ、正当な食物連鎖とは異なる弱肉強食の競争で乱れた生態系の混乱はまだしばらく続くだろう。
    ……それは、ある程度の経験を積んだ冒険者なら理解していて当然で。
    だからギルドでも大鴉騒動があった事は周知徹底しても、その後の事の注意はそう大々的にはしていない。物知らずで命知らずな若い冒険者が現れた時だけ受付のお姉さんがにっこり微笑みつつチクリと口頭で注意する位。
    勿論、学生達には先に教師がその旨注意はしていた。……が。それを真面目に聞いてなかったなら。
   「悪いが疾風の牙に指名依頼だ。――迷子の悪ガキ共を連れ戻して来い。もし依頼達成後に貴族だなんだと難癖つけられるようならギルドが盾となるから、首に縄つけてでも連れ帰れ」
    ……はい。指名依頼入りました。
   こうなるともう断れない。
   「……行ってきます」
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