唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

目指せ勝ち組！～君と歩む花道～

試験

    ……生徒会の立候補者の件では軽くひと騒動あったけれど、お貴族様が大勢いるこの学校ではお上品に講堂での集会時に各個演説を行い、その場で投票が行われる。登下校時や休み時間などに喧しく候補者の名前を叫んで回るような選挙戦は行われないお陰で、まあそれ以上の騒動もなく順当に候補が決定した。
    ……そう、順当に――私も何故か当選してしまい。またしても教室に突撃かまそうとしたビルが王子のお付き直々につまみ出された事件とか、選択科目の授業でアリスに絡まれたりするなんて小さなトラブルはあったけど、ね……。
    ああ、上級学校の方ではレイフレッドがぶっちぎりの票数で当選したらしい。
    ……W王子に「よろしく」と微笑まれた時には現実逃避したくなったけど、まぁ本格的な活動は試験が終わってからだ。
    この定期試験は実技系統以外の全ての科目が対象になるから、沢山授業を取っている私は結構スケジュールが詰まっている。
    まあ普段から勉強はしているから、今さら慌てて猛勉強する必要はないけれど、高得点を狙うなら普段より勉強時間を増やすくらいは当然だし、学校もそのつもりで試験前から試験終了までは部活も活動休止になる。
    ……この試験の点数次第では早速落第の危機が見えてくることもあったりするから、皆必死だ。
    流石のビルとアリスも自分の事で手一杯のようで、ここ暫く静かで平和な時を過ごせている。
    試験前なんて、前世じゃ一番憂鬱な時期だったのに、何だかやっと普通の学園生活が送れるようになった様で気分がすごーく楽だ。
    ……ホント、何だかなー。試験が終わればすぐ夏合宿の準備で忙しくなるから、この一時はほんの幻みたいなもんなのに、ね。
    ……ほんとに。
    試験が無事終わり、土日を挟んで翌週に成績上位者の名前が貼り出される。
    必修科目は全て二位を獲得。……一位は王子、三位四位と彼のお付きが並ぶ、席順通りの成績だ。
    やっぱり日々最高の家庭教師をつけて勉強している王子に、あれこれ手を出してる私は敵わない。
     けど、魔法理論とか得意分野はぶっちぎりの一位。
     総合成績も一位を獲得。
     ……ビルとアリスの名前はどこにもない。
     これは……成績が良くないと攻略出来ない宰相子息とウチの王子のお付き二人のルートも潰えたね。
    残るは運動能力次第の騎士団長子息とビルだけ。
    体育系実技はアリスと被ってないから、彼女の出来は噂でしか知らないけど……。
    一応昔は冒険者してただけあって、お嬢様の中では出来る方だとは聞いたけど、果たしてそれが彼のお眼鏡に敵うレベルかどうかは分からない。
    でも……彼女の選択肢がほぼ固定されたことは間違いない。
    この状況て合宿、か……。
    ああ、面倒臭い。