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目指せ勝ち組!~君と歩む花道~
魔法実技
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先生は、私と他数人、先に鑑定を済ませて課題を終えた子達を連れて、壁に設置された的の前へ移動する。
「それぞれの属性で一番簡単な初級魔法を打て」
これが次の課題。
私以外に課題が終わった子の大半は属性を一つしか持っていない子達だったから、それぞれ水刃とかファイヤーボールとかを教えてもらって、恐る恐る的に向けて詠唱を始める。
この程度の初級魔法なら詠唱を間違えなければ、イメージが多少あやふやでも一応形にはなる。
「ウォーターカッター!」
……初級魔法ながら使い勝手が良いので私もよく実戦で使う魔法――の、はずなんだけど。
私はこの水刃を無数の水の刃が敵に迫り、特に多数の敵の首を落とすのに便利な魔法だと思って使っていた。
けど、同い年のこの少年の詠唱で打ち出されたのは弱々しい水砲一撃。……カッターと言いながら刃になりきらない水の塊が的に当たる。
形状記憶の魔法が付与された魔道具の的は勿論びくともしない。
あれ? ……と思ったけど。
次の女の子は「ファイヤーボール!」と気合いたっぷりに詠唱し。
手まりサイズの球を一つ放った――は、良いけど。
本来プロ野球のピッチャーの球速位の速度は出るはずの球はふわふわと頼りなさげに子供のキャッチボールの球速にも劣る勢いで的に着弾。……無論的はやっぱり無傷だ。
「では、最後にアンリさん。まずはどの属性から始めるかね?」
「はい。では水刃から」
普段は広範囲に打つ事の多い魔法だけど、今回は威力も刃の数も抑えて的に当てる。
「水刃!」
それでも十以上の刃が的を微塵に砕いた。
砕けた的は直ぐに魔道具の術式が作動し三十秒程で元通りになる。
「火球!」
これもまた威力と弾数を抑えて打てば、青い炎が的を焼き溶かす。
「岩弾!」
「茨の刺!」
「鋼の矢!」
「光弾!」
「影分身!」
岩の礫を当て、植物の刺を飛ばし、金属の矢尻を放ち、高密度の光の弾で的に穴を開け、最後に闇魔法で作った幻の分身に的を切りつけさせ、その瞬間だけ風刃を併用して的を壊した。
――その頃には全員の鑑定が済み、誰もが第一課題に取り組んでいたけれど、その誰もが息を飲んで私の課題に注目していた。
「……これは。第二課題も合格、ですね」
どうしましょう?
私についてくれたジーク先生が、鑑定を終えた先生に伺いの視線を送る。
「彼女は冒険者で魔法を使い慣れているそうです」
「ふむ、ランクは?」
「Aランク、黄金級です」
聞かれてしまっては偽りはご法度なので、仕方なく身分証のギルドカードを提示した。
「……成る程。そりゃ初級魔法など出来て当然だな」
先生が顔をひきつらせた。
「分かった。次回から君だけに専属教師をつけて各課題をこなして貰う。その全てに合格したら、君には教師のサポートをして貰う」
「はい」
そこで今日の授業が終わった。
次は……弓術、か。
「それぞれの属性で一番簡単な初級魔法を打て」
これが次の課題。
私以外に課題が終わった子の大半は属性を一つしか持っていない子達だったから、それぞれ水刃とかファイヤーボールとかを教えてもらって、恐る恐る的に向けて詠唱を始める。
この程度の初級魔法なら詠唱を間違えなければ、イメージが多少あやふやでも一応形にはなる。
「ウォーターカッター!」
……初級魔法ながら使い勝手が良いので私もよく実戦で使う魔法――の、はずなんだけど。
私はこの水刃を無数の水の刃が敵に迫り、特に多数の敵の首を落とすのに便利な魔法だと思って使っていた。
けど、同い年のこの少年の詠唱で打ち出されたのは弱々しい水砲一撃。……カッターと言いながら刃になりきらない水の塊が的に当たる。
形状記憶の魔法が付与された魔道具の的は勿論びくともしない。
あれ? ……と思ったけど。
次の女の子は「ファイヤーボール!」と気合いたっぷりに詠唱し。
手まりサイズの球を一つ放った――は、良いけど。
本来プロ野球のピッチャーの球速位の速度は出るはずの球はふわふわと頼りなさげに子供のキャッチボールの球速にも劣る勢いで的に着弾。……無論的はやっぱり無傷だ。
「では、最後にアンリさん。まずはどの属性から始めるかね?」
「はい。では水刃から」
普段は広範囲に打つ事の多い魔法だけど、今回は威力も刃の数も抑えて的に当てる。
「水刃!」
それでも十以上の刃が的を微塵に砕いた。
砕けた的は直ぐに魔道具の術式が作動し三十秒程で元通りになる。
「火球!」
これもまた威力と弾数を抑えて打てば、青い炎が的を焼き溶かす。
「岩弾!」
「茨の刺!」
「鋼の矢!」
「光弾!」
「影分身!」
岩の礫を当て、植物の刺を飛ばし、金属の矢尻を放ち、高密度の光の弾で的に穴を開け、最後に闇魔法で作った幻の分身に的を切りつけさせ、その瞬間だけ風刃を併用して的を壊した。
――その頃には全員の鑑定が済み、誰もが第一課題に取り組んでいたけれど、その誰もが息を飲んで私の課題に注目していた。
「……これは。第二課題も合格、ですね」
どうしましょう?
私についてくれたジーク先生が、鑑定を終えた先生に伺いの視線を送る。
「彼女は冒険者で魔法を使い慣れているそうです」
「ふむ、ランクは?」
「Aランク、黄金級です」
聞かれてしまっては偽りはご法度なので、仕方なく身分証のギルドカードを提示した。
「……成る程。そりゃ初級魔法など出来て当然だな」
先生が顔をひきつらせた。
「分かった。次回から君だけに専属教師をつけて各課題をこなして貰う。その全てに合格したら、君には教師のサポートをして貰う」
「はい」
そこで今日の授業が終わった。
次は……弓術、か。
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