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念願の旅路で

未来の為に

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    「ああ、そりゃあいつらの常套手段だよ。たがまあ今回はターゲットにした相手が悪かったんだなぁ」
    門の詰所までしょっ引かれての取り調べに素直に応えたところ、担当の兵士にそう笑われた私。
    どういう事かと尋ねれば。
    「漁夫の利までは狙えなくてもな、チンピラ共とやり合えそうな奴を引き込んで喧嘩させて、少しでもチンピラ共の力を削いで自分たちの生存確率をあげようって話さ」
    この街では明確な悪さをして兵に捕まらない限りは基本チンピラも孤児も野放しのまま。特に孤児は金に困った大人が置いていくので増える一方だから、下手に保護政策など打ち出せば、地元住民の反発を食らう。
    「……シレイドの孤児はまだ恵まれた環境に居たんですね」
    そんな厳しい現実を説明されたレイフレッドのはため息をついた。
    「可哀想とは思うが、次々増える子供達の面倒を見る人手も金も俺たちにゃ無い。俺には守るべき自分の女房と子が居る。他所の子供をかまって自分の妻子を路頭に迷わせるわけにはいかんのよ」
    ……これは、あれだ。
    保健所で殺処分される犬猫が可愛そうと良いながら、じゃあどうするんだって論争と根っこは同じ。
    全てを抱え込むか、見て見ぬフリをするか。
    「……そんな状態なら、何人か貰って帰っても構わない感じですかね?」
    私だって誰彼構わず全部の面倒は見切れないけどさ。
    幸いにも未開の土地があって、ある程度のお金もある。
    「その気のある子が居るなら、私が引き取りましょう」
    今から教育すれば、やる気のある子なら将来きっと役に立ってくれるだろう。
    「……とんぼ返りになるけど、ちょっと行って宿舎と教室を整えて来ましょう」
    さすがに秘密で一杯の私達の小屋には住まわせられないからね。
    ちゃんとご飯を食べさせてお風呂にいれてあげれば可愛いもふっ子がわちゃわちゃする光景がいつでも見放題になるのだ。
    妖精達に並んで最高の癒しになる。
    「労働力も手に入るしちょうど良いわ」
    まだ正式に領地として貰った訳じゃないからと念のためマルクニアの女帝陛下にお伺いをたてたところ、「それは助かる。むしろこちらから頼みたい」と言われて寄付金までいただいちゃった……。
    というか彼女から話を聞いた魔皇帝様からもよろしくとお金と子供達が送られてきた。
   「お任せください、お嬢様。私が責任をもって彼らにお嬢様の素晴らしさを徹底的に叩き込みます」
   「いやいや、そんなのいいから。普通に教えてくれたら良いから!」
    と、私は一応止めたんだけど。
    何でかな……。レイフレッドが妙に張り切ってるんだけど……。
    なんか最近子供達が私を戦隊ヒーローか何かを見るようなキラキラした目で見るようになってるんだけど……。
     ねぇレイフレッド、この子達に何を教えたの!?
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