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念願の旅路で

街の明暗

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    「……で?」
    私達が居るのは街の目抜通り。
    そこで騒いだんだから、当然の様にすぐさま警備兵がわらわらと駆け寄ってきて、この現状に目をむいた彼らの事情聴取を受ける流れになるのは……まあ仕方ないよね、って思えるんだけど……ね……。
    「お前たちは何者だ?」
    兵士達は私達に疑念の視線を向けてくる。……いや、転がされたチンピラは実に手慣れた様子で連行されて行ったから、あちらが悪さした事は分かっているのよね?
    「私達は冒険者です。ここいらで一番大きく栄えた街と噂を聞いて立ち寄ったのですけど、どうやら私の様な年齢の子供には少々難がありそうでしたので、あちらの門から街を出ようと通りを車で移動していたところを先程のチンピラに絡まれたので、自衛のため身柄を拘束しただけです」
    冒険者であることを証明するため神眼石のステータスノートを可視化させて見せる。
    「……まさか、こんな子供が黄金級のAランクだと?」
    「信じがたいが……。ステータスノートの表示は非表示にして隠蔽する事は出来ても表示されている表記を誤魔化すことは不可能だ。信じる他あるまい……」
    驚愕する兵士からの謝罪を受け、私達は解放されることになった。
    「いや、申し訳ない。こんな街なもんで、有り金全部すっちまった輩が居着いて悪さをするんで、いくら取り締まっても鼬ごっこでキリがないんすよ」
    ……まあありがちではあるよね。
    じゃぶじゃぶ潤うのも居るだろうけど、そちらが明るい分闇もまたそれだけ暗く根深くなっていくから。
    大人のチンピラはともかく、子供達はボロボロの野良みたいで嫌が応にも庇護欲が湧いてくるから困ったものだ。
    だから。
    カツン、と兵士のヘルムに小石が当たり、それを投げたのがおそらく先程の子供達の一味と知った兵士達が即座に彼らを追いかけに行き。
    「おい、お前たちついてこい!」
    と、兵士が駆け去ったのとは別の路地からまた新たに子供達が表れ、明らかに怯えていると分かる態度で、それでも私に声をかけてきた彼らについついていく気になっちゃったんだよね。 
    当然レイフレッドには呆れられたけど。
    でも、まるで過去の自分を見るような目であの子達を見ていたのはレイフレッドだったんだしね?
    ……路地を少し入るとすぐに車では通れない狭い路地裏の道で、人通りもなく荒れた街並みに変わる。
    仕方なく馬車をリルフィごと空間に戻すと、子供達が一様に驚愕の表情を浮かべた。
    「……それで、あなた達のご用件は何かしら?    そろそろ教えてくれない?」 
    「ま、まだだ!    も、目的地までだまってついてこい!」
    震える声で、必死に威勢を保つリーダーらしい犬耳のハーフの子が先頭に立って歩く。
    そうして連れてこられたのは。
   「スラム……ですか」
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