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帰還

二度目の鑑定式

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    ……嵐のような怒濤の一日。
    昨日の事はもう思い出したくない。
    マナーレッスンでお母様の恐ろしさは十分理解したつもりだったけど、まだ足りなかった。

    ……詳細? 
    お、覚えてないわ!    と言うか本当に思い出したくないのよ!
    最低限今日必要な記憶以外全部封印してやったわ!

    「ではお嬢様、行ってらっしゃいませ」
    玄関に見送りに出ているのは家令とレイフレッドと――もう一人。
    昨日、私付きの専属メイドとして紹介されたルフナだ。
    メイド長と馬丁の娘で、今年成人を迎えたばかりの15歳の少女。
    私の前世の感覚では15歳なんて中学生か高校生。
    幼い子供ではもうないけれど、それでも世間一般からすればまだまだ子供。

    ……そんな年頃のはずが……何だろう、超ベテランの生徒指導担当教師のような融通の利かないタイプの生真面目さんな雰囲気たっぷりのひっつめ髪……。
    あの、確かにウチも最低限の面子を保つための服装規定はあるんだけどね、清潔感と仕事の妨げにならない格好ならもっと普通にお洒落していいのよ……?
    貴女のお母様だって、流石に若い子に比べたら年相応に抑えてはいるけれど、少なくとも貴女よりは緩い格好をしているのよ……?

    私はおろおろとそう教えてあげたのだけど……。
    「いいえ、お嬢様。服装の乱れは心の乱れにございます。……他の方のお洒落を貶すつもりはございませんが、私は無駄に着飾る事が好きではありません」

    と、なんとも年頃のお嬢さんらしからぬお答えをいただきました……。

    でも、これまで専属メイドなんてお父様達にだってついていなかった――というか実際今現在も居ないのに、何故?
    そもそも専属メイドってなんの仕事をするの?
    そう尋ねれば。
    「……アンリ、君はいずれ貴族に嫁ぐ身だ。そろそろその習慣に慣れなければいけないし、丸一日異性の従者とべったりというのも流石に外聞がよくないからね」
    「……確かに現時点では貴族に嫁ぐ予定ではありますが、例えそれが現実になろうとも、私は貴族になりに行くのではございませんわ。……貴族の生活に慣れるより余程、一人で何でもこなせるようになる方が将来のためになるかと」
    レイフレッドと引き離そうと言うのも気に入らないわ……。
    ――今はまだしも後数年で思春期を迎えるレイフレッドに私の女性としての部分の世話まで任せるわけには……まあいかないからそこは納得しておくけど。

    私は懐かしの二人乗り馬車のお父様のお膝再びでグロッキーになりながら、教会へ向かう。
    ……リルフィを町中で走らせたら大事になるのは理解わかってるけど、普通の馬を繋げば問題ないんだし、私の馬車を使おうとの提案は退けられた。
    あまり悪目立ちしたくないからと。
    ……何だかお父様らしくないよ?

    教会へ着くと、何となく見覚えのある面子と見た事のない人とが集っていた。
    私と同い年の子は当然前回と変わらず。同じく前回五歳で今回七歳の鑑定を受ける子の顔ぶれにも覚えがある。
    特に私と同い年のはずの、やたら私の両親に畏まるご夫婦はよく覚えているもの……。
    で、今回が初出の三歳の子達と、十五、十八の人達も前回とは同然違う顔ぶれが揃っていた。
    けど、あの日の記憶と出てきた人物の顔以外寸分違わず扉が開き私達は中へと招き入れられ、お馴染みカードリーダーと、その内容を映し出す板が用意される。
    ……さあ、いざ。
   順番を待って、リーダーに神眼石を翳す。

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氏名    アンリ=カーライル
年齢    5
職種    冒険者・魔術師・魔術具職人・職人見習い・商人
所持スキル
【クリエイト    Lv.1】
【高等魔術(闇属性)Lv.10】
【高等魔術(光属性)Lv.10】
【馬術(Lv.5)】

ステータス
腕力    C
体力    B
精神    A
知力    S 
敏捷    B
器用    SSS
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