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幕間② ー レイフレッド side ー

絶望からの大逆転

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    ――お嬢様の為なら死んでも構わない。
    その思いは嘘じゃない。……嘘じゃなかった――はずなのに。
    あの時に強く意識したのは、死を目前にした絶望と、死にたくない生きたい強い願望だったんだ。

    あいつらが何を思ってあんな事をしたかは知らない。知りたいとも思わない。
    確かにお嬢様の血以外は飲めないと伝えたのに、理解して貰えず無理矢理飲まされた血は、お嬢様の血の甘さを改めて思い知った位には苦くて。
    直後に酷く頭を殴り付けられたような激痛と共に思考力が意識の底に沈んでいく感覚だけよく覚えているけれど、そこからの記憶は無い。

    ただ、お嬢様が命懸けでこの命を繋いでくれた。あの瞬間の事は一生忘れられないだろう。
    あれは、ただでさえ甘いお嬢様の血が、舌がとろける位に温かく甘く美味しすぎて至福の瞬間でもあったんだ。
    でもそのせいでお嬢様も酷い貧血で辛かったはずなのに、俺の無事を泣いて喜んでくれた。

    もう、これまでもいっぱい、返しきれないくらいの恩があったのに。吸血鬼の長い寿命全部使ってお嬢様にお仕えしても足りない気がする。

    と言うか、従者じゃ足りない。
    魔族の皇帝が欲しがるかもしれない規格外のお嬢様。
    本気で守ろうと思うなら、ぺーぺーの従者でも冒険者でも全然役不足で。

    俺のために本当にパートナーになってくれたお嬢様の為に何が出来るのか。
    いい加減本気で考えるべきなんだろう。

    お嬢様が無償で与えてくれる物に恥じないだけの、何か。

    絶対に平和で平穏な毎日とは縁遠い、そんじょそこらの男には手に負えない日々を手に入れるために。

    お嬢様とは別に、こっそり王様に願った事がある。
    ……お嬢様には当分秘密ですけどね。
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