上 下
50 / 370
波乱含みの旅路で。

冒険者になりました。

しおりを挟む
    さて。念願の冒険者になったところで、この世界の冒険者についておさらいしよう。

    まず、冒険者ランクについて。
    最上位のSSSトリプルSランクからHランクまで11段階のランクがある。
    中でもSSSトリプルSランク及びSSダブルSランクは白金プラチナクラスと呼ばれ、世界に数人しか居ない伝説級の英雄だ。特にSSSランクはここ十数年不在状態が続いているという。
    次の黄金ゴールド級と呼ばれるSランクやAランクも十分英雄と呼ばれるだけの実力を有してはいるが、それでも白金級と黄金級の実力差は圧倒的なものがある。
    それを考えると、一般の冒険者達が目指す現実的はトップはシルバークラスのBランク、Cランクだろう。そこからベテラン勢のブロンズクラスのDランクとEランク。一般勢のアイアンクラスのFランクとGランク。
    そして私、新人見習いの鉱石オルクラスのHランク。
    鉄級までは依頼を無難にこなしていけば上がれるけど、銅級に上がるには賊討伐等の対人戦と護衛依頼を一定評価を上げての達成実績がある事が条件。
    銀級には指名依頼の実績次第と条件がある。

    ……まあ銀級以上のランクになるとか無いだろうし、対人戦が条件の銅級も厳しい気がするから今は置いておこう。

    因みに、ルクスドでちまちま依頼を受けていたレイフレッドは既に一つ上の鉄級Gランクになっている。

    で、だ。
    「レイフレッド、パーティー登録しよう」

    そう、ごく稀にソロプレイヤーも居るけれど、大半の冒険者はパーティーを組む。
    それぞれの職の短所を補いあって長所を最大限に生かすために。
    「パーティー名は何にしようか?」
    「……お嬢様には何か案が?」
    「うん、疾風の牙ブラスト・ファングってどうかしら?    いずれ旅にでて行商する時には商店の名前にもするつもりなの!」
    商いは早さが命。バトルスタイルだって私達はスピードタイプだろう。
    「……では、その名前で登録申請を出しますね」
    ……ん、レイフレッドの微妙な間は何だったんだろう?
    ちょっと中二に走り過ぎたかしら……。

    あ、ちなみにパーティーにもランクがある。
    基本、パーティーメンバーのランクの平均値がパーティーランクとされる。
    私達は二人で一ランク差。平均値が出ない場合は下位メンバーのランクに合わせたランクになる為、疾風の牙はHランクパーティーとして登録された。

    ふふふふふ、フロスも仲間に出来たし、パーティーも組んだし。
    こうなったらアレが必要になるよね?
    ちょうどいい機会だから、ちょっと奮発して頑張っちゃおう。

    「さあ、今度こそ出発するぞ。魔馬は夜の森も問題なく駆ける。遅れを取り戻すためにも夜通し駆けるからそのつもりでな」
    「お嬢様、夜の御者は僕が務めます」
    「ええ、お願いするわ。……その分日が出てる内は私がやるから、しっかり休んでね」
    
    ふふふふふ、今夜は空間のアトリエで夜なべ仕事だ!
    この一年で磨いたスキルを存分に生かして装備を揃える。

    私は最高にご機嫌な笑顔をレイフレッドに向けた。

    幸いそれから数日は何事もなく平穏無事な旅路が続き。

    私は毎晩じっくり作業に取り組めた。
    おかげでスキルレベルも上がったし。

    さあ、私の今持ちうる全ての技術を駆使し、私の趣味と萌えを最大限に反映した渾身の装備をご覧あれ。

    「レイフレッド、プレゼントがあるの」

    とある町に一泊することになったその日。
     私はそれをレイフレッドに差し出したのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈 
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

異世界に転生した俺は農業指導員だった知識と魔法を使い弱小貴族から気が付けば大陸1の農業王国を興していた。

黒ハット
ファンタジー
 前世では日本で農業指導員として暮らしていたが国際協力員として後進国で農業の指導をしている時に、反政府の武装組織に拳銃で撃たれて35歳で殺されたが、魔法のある異世界に転生し、15歳の時に記憶がよみがえり、前世の農業指導員の知識と魔法を使い弱小貴族から成りあがり、乱世の世を戦い抜き大陸1の農業王国を興す。

悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!

ペトラ
恋愛
   ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。  戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。  前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。  悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。  他サイトに連載中の話の改訂版になります。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

戦犯勇者の弟妹~追放された弟妹の方が才能あるけど、人類がいらないなら魔王軍がもらいます~

アニッキーブラッザー
ファンタジー
「お前たちの兄の所為で魔王軍に負けた」、「償え」、「王国の恥さらしは追放だ」。人類と魔王軍の争い続く戦乱の世で、人類の希望といわれた勇者の一人が戦死し、人類の連合軍は多大な被害を受けた。勇者の弟である『エルセ』は故郷の民やそれまで共に過ごしてきた友たちから激しい罵詈雑言を浴びせられ、妹と共に故郷を追放された。 財を失い、身寄りもなく、野垂れ死ぬかと思った自分たちを保護したのは、兄の仇である魔王軍の将だった。 「貴様等の兄は強く勇敢な素晴らしき武人であった。貴様らの兄と戦えたことを吾輩は誇りに思う。生きたくば、吾輩たちと共に来い」 そして、人類は知らなかった。偉大な兄にばかり注目が集まっていたが、エルセと妹は、兄以上の才能と力を秘めた天賦の超人であることを。本来であれば、亡き兄以上の人類の希望となるはずの者たちを自分たちの手で追放したどころか、敵にしてしまったことを。

処理中です...