婚約破棄され国外追放された悪役令嬢、砂漠の真ん中に国を創る。え、移住させてほしい? いや、あんた等なんざお断りだよ!

彩世幻夜

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牧場始めます。

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 『おうおう、あの勢いでぶつかって来られたら、せっかく作ったばかりの壁も崩れそうだねぇ』
 「手前に堀はあるけど……」
 『前の連中は嵌るだろうけど、そいつらで埋まった堀をその後ろの奴らは踏み越えてくるよ、確実に』

 要は端から黙って見ているだけ、なんて許されないのだ。

 「あれ、全部バーベキューにしたところで食べきれないし、この暑さの中生肉ほっぽり出したら一日経たずに悪臭地獄になるだろうし……、ここはやっぱり冷凍保存が適当かしらね」
 『先頭から凍らせていけば、後ろの連中が割砕いてくれるだろうから、効率はよさそうだね』

 よし、方針は決まった。

 『んじゃ、《アイスロック》!』
 前の数列の牛が、突如氷の中へと閉じ込められる。
 が、駆け続ける牛は止まらない。

 予想通り、その鋭い角と大きな体躯で氷に勢いよく突進。
 一度では壊れない氷に突進をストップさせられた牛は、更に後続の牛に踏み潰され、やがて氷は粉々に割り砕かれ踏み砕かれて砂の一部と消えていく。

 「うわぁ、予想してた以上にスプラッターな光景ね……」
 しかし、まだ始末できたのは前の数列のみ。牛はまだまだ残っている。
 『《アイスロック》《アイスロック》《アイスロック》!』

 数回同じ事を繰り返せば、いくら魔物と言えど学習する。
 「勢いが落ちてきたね」
 牛は既に半数程まで数を減らしている。

 『そろそろ良いかな……、《ピット トラップ》《ウォーター》《ウォーター》《ウォーター》! んで、トドメの……《アイスロック》!』

 砂漠に大きな落とし穴を掘って牛を落とし、そこへ大量の水を注いで牛の大半を頭まで水漬けにした所でその水を凍らせる。

 一部浸かり切らなかった牛たちも、氷に足を取られて動けず必死にもがいている。

 『必要な数だけテイムかけたらもう一度凍らせるよ』
 ……そうか。あれは取りこぼしでなくワザとでしたか。

 こうして私は大量の牛肉と、数頭の水牛を家畜としてゲットし、この戦いは無事終了した。

 さて、家畜を飼うとなれば当然餌が必要になる。
 慌てて牧草の種を新しく増設した洞窟に撒き、栄養剤をぶっかける。
 ……申し訳ないけど今は質より量が必要で、例の栄養剤を駆使して牧草地を作った。

 「後でチーズ小屋を作ろう」

 繁殖用の数頭を除き、基本雌は乳牛として、雄牛は肉牛として育てる。

 「これでモッツァレラチーズと、畑のトマトがあれば……、あとバジル育てればカプレーゼやマルゲリータピザが作れるな」

 とすると。
 「次はハーブ園に挑戦するか」
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