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砂漠の冒険
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既に洞窟という壁があるのだ、栽培用の小屋など石の柱を立て、錬金術で作ったビニールに近い素材と布地とを合わせた物を壁と屋根にすれば出来上がり。
「うーん、これでサンドワームはちょっとご褒美過剰だったかも……?」
まぁ、いい。その小屋の中に棚を作り、菌株を植えた鉢を並べておく。
モヤシも同じく。
ここまでやってしまえば。
『後は農業担当に頼んどきゃそれでいい』
朝にちょちょっと作業してしまえば後は収穫まで見守るしかない。
「次は『衣』だけど……」
『その! 前に! サンドワームよ、サンドワーム!』
サンドワームとは。
カブトムシの幼虫をデカく長くしたような見目のモンスターで、砂漠の砂の中をウネウネと、掘った穴から顔を出し、また新たな穴を掘って頭を突っ込みつつ移動する。
素材は確かに貴重ではあるんだけど……
正直あんまり見たくない、そう言う類のモンスターだ。
錬金担当や魔法担当、魔道具担当や鍛冶担当。
その私達が欲している理由は勿論分かるんだけど。
「討伐自体は魔法担当に丸投げとはいえ、奴らは空間からは出て来られないから……結局戦うのは本体のこの私なのよね」
並列存在的には安全なお家の中からゲームのコントローラーを握って私を操り戦う。
まぁ、私が殺られれば奴らは一蓮托生で私と一緒に消え失せる――いや、魂が残り再びの転生の可能性のある私と違って完全に消滅するのだ。
負ける戦いに私をやる事はないのは分かってるけど。
「せめてこう、何かカワイイモンスターとか居ないもんかね、ほのぼの系ソシャゲRPGゲームに出てきそうな、さ」
文句は言っても、魔法担当に本格的にへそを曲げられたら面倒な事になる為、私は仕方なく屋敷に戻り身支度を整える。
鍛冶担当傑作の防具と武器。
魔道具担当のアイテムと錬金担当のポーション。
『あ、念の為武術担当の私もスタンバイしとくから。安心しな!』
ちなみに出るのは日が沈んだあと。
……灼熱地獄を直射日光浴びながら歩いたら、サンドワームと戦う前にライフが尽きる。
その位ならもこもこ暖か上着で防げる寒さの中歩く方が負担が少ないからね。
何も遮るもののない闇夜に大量の星が輝く夜。
『そういえば目印になりそうなものも特に見当たらないけど、大丈夫なの? 迷子にならない?』
「大丈夫、昨日空間スキルのレベルが上がって新しいスキルを覚えたから。
それを使えば例え迷っても確実にこの小屋まで戻って来られるから」
そう、〈入り口固定〉と〈セカンドドア〉。この二つのスキルがあれば――
「うーん、これでサンドワームはちょっとご褒美過剰だったかも……?」
まぁ、いい。その小屋の中に棚を作り、菌株を植えた鉢を並べておく。
モヤシも同じく。
ここまでやってしまえば。
『後は農業担当に頼んどきゃそれでいい』
朝にちょちょっと作業してしまえば後は収穫まで見守るしかない。
「次は『衣』だけど……」
『その! 前に! サンドワームよ、サンドワーム!』
サンドワームとは。
カブトムシの幼虫をデカく長くしたような見目のモンスターで、砂漠の砂の中をウネウネと、掘った穴から顔を出し、また新たな穴を掘って頭を突っ込みつつ移動する。
素材は確かに貴重ではあるんだけど……
正直あんまり見たくない、そう言う類のモンスターだ。
錬金担当や魔法担当、魔道具担当や鍛冶担当。
その私達が欲している理由は勿論分かるんだけど。
「討伐自体は魔法担当に丸投げとはいえ、奴らは空間からは出て来られないから……結局戦うのは本体のこの私なのよね」
並列存在的には安全なお家の中からゲームのコントローラーを握って私を操り戦う。
まぁ、私が殺られれば奴らは一蓮托生で私と一緒に消え失せる――いや、魂が残り再びの転生の可能性のある私と違って完全に消滅するのだ。
負ける戦いに私をやる事はないのは分かってるけど。
「せめてこう、何かカワイイモンスターとか居ないもんかね、ほのぼの系ソシャゲRPGゲームに出てきそうな、さ」
文句は言っても、魔法担当に本格的にへそを曲げられたら面倒な事になる為、私は仕方なく屋敷に戻り身支度を整える。
鍛冶担当傑作の防具と武器。
魔道具担当のアイテムと錬金担当のポーション。
『あ、念の為武術担当の私もスタンバイしとくから。安心しな!』
ちなみに出るのは日が沈んだあと。
……灼熱地獄を直射日光浴びながら歩いたら、サンドワームと戦う前にライフが尽きる。
その位ならもこもこ暖か上着で防げる寒さの中歩く方が負担が少ないからね。
何も遮るもののない闇夜に大量の星が輝く夜。
『そういえば目印になりそうなものも特に見当たらないけど、大丈夫なの? 迷子にならない?』
「大丈夫、昨日空間スキルのレベルが上がって新しいスキルを覚えたから。
それを使えば例え迷っても確実にこの小屋まで戻って来られるから」
そう、〈入り口固定〉と〈セカンドドア〉。この二つのスキルがあれば――
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