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砂よけと緑のカーテン
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「魔法担当ー、ちょっと良い?」
『あん、何よ?』
「水盤をこのまま作ってもさ、風が吹いたらあっという間に水が砂埃に汚染されると思わない?」
『まぁ、そうだろうねぇ、砂漠なんだし』
「と、言う訳でアンタの出番ってわけよ」
『いや、どういう訳やし』
「そりゃ勿論。土魔法で巨大な岩洞窟を作る! 小屋と一緒に囲えば家の中ももっと涼しくなるし。
水盤を小屋の後ろになるように、小屋で洞窟の入り口を塞げば、小屋には程よく日光は当たるし良い事だらけじゃね?」
てか、砂埃も大概だけど、カンカン照りの下にずっと水場をおいていたら、いくらブースターかけても湧き出る水より蒸発していく水のが圧倒的に多そうだし……
「てなわけで、魔法担当、出番だ!」
『……まぁ、周り中砂だらけで素材は豊富にあるしね、まぁ出来ないこたないけど』
「じゃ、お願い」
『……その前に錬金担当に言ってMPポーション貰って来い』
……十分後。ポーションをスタンバイさせた私は魔法担当に身体の支配権を明け渡す。
『――クリエイト! ロック』
魔法担当がそう唱え魔法を使うと、ドンと目の前に巨大な灰色の岩が一つ現れる。
続けて『クリエイトロック』、『クリエイトロック』、『クリエイトロック』と唱えるたびに、似たような岩が現れ壁となっていく。
一段目が終わったら次は二段目。
『クリエイトロック』、その後に『コネクトロック』と唱え下の段としっかりくっつけ固定する。
それを繰り返し、三段目、四段目と徐々に内側へと輪を狭めていき、最後の一段を『クリエイトロック』『コネクトロック』で天井を塞ぐ。
小屋と、昨日開けた穴を取り囲む岩の洞窟の出来上がりだ。
まだ砂に熱がこもっているからあまり涼しくないけど、一晩経てば外との気温差は歴然とするはず。
『はー、疲れたー。水盤工事明日で良くない? もう今日は魔法使いたくないんだけどー!』
「う……、まぁ、ポーションでお腹ぽちゃぽちゃだし、ね。今日はもうポーション飲みたくないわ……」
あー、予定がズレたね。ヤバい、ウチの従者の笑ってない笑顔が見える気がする!
「いや、でも必要だったし!」
『……やっぱ少しは水盤工事進めよか?』
「……ハイ」
取りあえず水盤の前に水路を伸ばし、洞窟の出入り口前にとある種を撒き……
「……錬金担当作の植物成長促進剤、その威力や如何に!」
するするする~ニョキニョキ~っと幾本もの蔦が生えだし、たちまち緑のカーテンを作り出す。
前世日本の夏でヘチマあたりで作るのがポピュラーだった緑のカーテン、今回はポプラで試してみました。
これで更なる埃と暑さ対策になる。
「もう、いいよね? 水盤工事本番は明日で……」
疲労困憊になった私は、思い足取りで空間の屋敷へ戻るのだった……。
『あん、何よ?』
「水盤をこのまま作ってもさ、風が吹いたらあっという間に水が砂埃に汚染されると思わない?」
『まぁ、そうだろうねぇ、砂漠なんだし』
「と、言う訳でアンタの出番ってわけよ」
『いや、どういう訳やし』
「そりゃ勿論。土魔法で巨大な岩洞窟を作る! 小屋と一緒に囲えば家の中ももっと涼しくなるし。
水盤を小屋の後ろになるように、小屋で洞窟の入り口を塞げば、小屋には程よく日光は当たるし良い事だらけじゃね?」
てか、砂埃も大概だけど、カンカン照りの下にずっと水場をおいていたら、いくらブースターかけても湧き出る水より蒸発していく水のが圧倒的に多そうだし……
「てなわけで、魔法担当、出番だ!」
『……まぁ、周り中砂だらけで素材は豊富にあるしね、まぁ出来ないこたないけど』
「じゃ、お願い」
『……その前に錬金担当に言ってMPポーション貰って来い』
……十分後。ポーションをスタンバイさせた私は魔法担当に身体の支配権を明け渡す。
『――クリエイト! ロック』
魔法担当がそう唱え魔法を使うと、ドンと目の前に巨大な灰色の岩が一つ現れる。
続けて『クリエイトロック』、『クリエイトロック』、『クリエイトロック』と唱えるたびに、似たような岩が現れ壁となっていく。
一段目が終わったら次は二段目。
『クリエイトロック』、その後に『コネクトロック』と唱え下の段としっかりくっつけ固定する。
それを繰り返し、三段目、四段目と徐々に内側へと輪を狭めていき、最後の一段を『クリエイトロック』『コネクトロック』で天井を塞ぐ。
小屋と、昨日開けた穴を取り囲む岩の洞窟の出来上がりだ。
まだ砂に熱がこもっているからあまり涼しくないけど、一晩経てば外との気温差は歴然とするはず。
『はー、疲れたー。水盤工事明日で良くない? もう今日は魔法使いたくないんだけどー!』
「う……、まぁ、ポーションでお腹ぽちゃぽちゃだし、ね。今日はもうポーション飲みたくないわ……」
あー、予定がズレたね。ヤバい、ウチの従者の笑ってない笑顔が見える気がする!
「いや、でも必要だったし!」
『……やっぱ少しは水盤工事進めよか?』
「……ハイ」
取りあえず水盤の前に水路を伸ばし、洞窟の出入り口前にとある種を撒き……
「……錬金担当作の植物成長促進剤、その威力や如何に!」
するするする~ニョキニョキ~っと幾本もの蔦が生えだし、たちまち緑のカーテンを作り出す。
前世日本の夏でヘチマあたりで作るのがポピュラーだった緑のカーテン、今回はポプラで試してみました。
これで更なる埃と暑さ対策になる。
「もう、いいよね? 水盤工事本番は明日で……」
疲労困憊になった私は、思い足取りで空間の屋敷へ戻るのだった……。
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