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第七章 元凶様がやって来た
迷惑な客人
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「……ついに来たのね。それで、やっぱり間違いないの?」
ダンジョン内の全ての人物のステータスを丸裸にできる権限を持つヴォルティスに尋ねる。
「そこまでしなくてもあの容姿で充分だがな。――ああ、間違いない」
「なら。私達は極力接触しない、彼につく従業員はエリートで固めて。面倒を起こしちゃだめ。一般のお客様の誘導はこちらで指示するわ」
彼が来ると情報を得てから急遽作ったモニタールーム。
各施設の様子が大量のモニターにそれぞれ映し出されている。
従業員は皆ハンディカム的な魔道具を身に着けている。
これで接触せずなんとか嵐が過ぎないかなぁ、と。
淡い期待を抱いている。
『――対象、宿泊層に入りました。高級ホテルへの宿泊をご希望です。予定通り最上級スイートを空けております、そちらへご案内致します』
『――お部屋へご案内し、ご記帳いただきました。只今施設のご説明を行っております』
「説明が終わったら、さり気なく今日はどうしたいかお尋ねしてくれる?」
『――今宵はショーをお楽しみになりたいそうです。その前に温泉に浸かりたいと仰せです』
「分かったわ。――温泉スタッフ、しばらく人の入りを制限して頂戴。スパサービスは全て一枠確保しておいて。――ショー、今夜全ての公演で席を押さえて、特等席よ」
……本当はこんなおもてなし、したくない相手なんだけどさ。何事もなくお帰りいただき、ダンジョンの平和を守るためには必要なことなのだと自分に言い聞かせ、指示を出す。
一日目は大人しく風呂に入って観劇を楽しんで終わった。
おかげでとても平和だった。
……が。
『――本日は海に出掛けたいと。夜はカジノで遊びたいそうです』
「――貸切プライベートビーチにご案内して。カジノは専属のディーラーを待機させておいて。程よく勝たせて、負けさせないよう、勝たせ過ぎないようラインを見極めろと伝えて」
二日目、早速問題を起こし始めた。
初めこそマリンスポーツを楽しみ、屋台グルメを喜んで食べていたが。
「他の客は居ないのか? 水着美女はどうした?」
……出た。恐れていた事態。
「――その様なサービスは行っておりません」
と、キパッと断れたらどんなにか……。
しかし、だ。
「お客様にだけ、と言うのは他のお客様に失礼に当たりますので……、絶対に他言なさらないと仰っていただけるのでしたら特別サービスをご用意致しますが……」
悔しい、悔しいけど。皆の平和のため。
……ヴォルティスに教わった、吸血鬼が絶対に破れない誓いの手順に従い、他言無用を約束させ。
近隣の娼館から、本来の報酬の倍額払って来てもらった娼婦の皆様。綺麗どころを集めましたよ。
くっ……、そっちの産業には手を付けないって、言ったのに!
「……ダンジョン内に娼館はありません。臨時で出張をお願いしただけなのです。手を付けた事にはなりませんよ!」
……皆に慰めてもらったので。引き続き、頑張ります!
ダンジョン内の全ての人物のステータスを丸裸にできる権限を持つヴォルティスに尋ねる。
「そこまでしなくてもあの容姿で充分だがな。――ああ、間違いない」
「なら。私達は極力接触しない、彼につく従業員はエリートで固めて。面倒を起こしちゃだめ。一般のお客様の誘導はこちらで指示するわ」
彼が来ると情報を得てから急遽作ったモニタールーム。
各施設の様子が大量のモニターにそれぞれ映し出されている。
従業員は皆ハンディカム的な魔道具を身に着けている。
これで接触せずなんとか嵐が過ぎないかなぁ、と。
淡い期待を抱いている。
『――対象、宿泊層に入りました。高級ホテルへの宿泊をご希望です。予定通り最上級スイートを空けております、そちらへご案内致します』
『――お部屋へご案内し、ご記帳いただきました。只今施設のご説明を行っております』
「説明が終わったら、さり気なく今日はどうしたいかお尋ねしてくれる?」
『――今宵はショーをお楽しみになりたいそうです。その前に温泉に浸かりたいと仰せです』
「分かったわ。――温泉スタッフ、しばらく人の入りを制限して頂戴。スパサービスは全て一枠確保しておいて。――ショー、今夜全ての公演で席を押さえて、特等席よ」
……本当はこんなおもてなし、したくない相手なんだけどさ。何事もなくお帰りいただき、ダンジョンの平和を守るためには必要なことなのだと自分に言い聞かせ、指示を出す。
一日目は大人しく風呂に入って観劇を楽しんで終わった。
おかげでとても平和だった。
……が。
『――本日は海に出掛けたいと。夜はカジノで遊びたいそうです』
「――貸切プライベートビーチにご案内して。カジノは専属のディーラーを待機させておいて。程よく勝たせて、負けさせないよう、勝たせ過ぎないようラインを見極めろと伝えて」
二日目、早速問題を起こし始めた。
初めこそマリンスポーツを楽しみ、屋台グルメを喜んで食べていたが。
「他の客は居ないのか? 水着美女はどうした?」
……出た。恐れていた事態。
「――その様なサービスは行っておりません」
と、キパッと断れたらどんなにか……。
しかし、だ。
「お客様にだけ、と言うのは他のお客様に失礼に当たりますので……、絶対に他言なさらないと仰っていただけるのでしたら特別サービスをご用意致しますが……」
悔しい、悔しいけど。皆の平和のため。
……ヴォルティスに教わった、吸血鬼が絶対に破れない誓いの手順に従い、他言無用を約束させ。
近隣の娼館から、本来の報酬の倍額払って来てもらった娼婦の皆様。綺麗どころを集めましたよ。
くっ……、そっちの産業には手を付けないって、言ったのに!
「……ダンジョン内に娼館はありません。臨時で出張をお願いしただけなのです。手を付けた事にはなりませんよ!」
……皆に慰めてもらったので。引き続き、頑張ります!
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