75 / 80
第七章 元凶様がやって来た
ダンジョン村到着
しおりを挟む
「ようこそいらっしゃいました」
ダンジョン到着前夜。
一行が寄ったのは、ギルマスのホームである、ダンジョン村手前の旗艦ギルドのある街だった。
「明日には馬車にてダンジョン村へとお送り致します。朝イチで出発すれば、昼前には村へ到着可能でございますが、出発時間はいかほどになさいますかな?」
「うむ。では朝食後、食休めの後出発するとしよう」
「かしこまりました、ではそのように手配させていただきますので、今宵はこちらの宿でごゆるりとお過ごしくださいませ」
そう言って坊ちゃんを宿に放り込んだギルマスは、
「明日行く。ギルマスは数日はギルドに張り付いてろ。そこにいる連中にもきっちり情報を回しとけ」
と早馬を出し、明日の護衛メンバーの最終確認を行う。
痛む胃に手を添えながら、眠れない夜を過ごした翌朝。
ついに、ダンジョン村への最終行程の第一歩を踏み出す。
かつて村を作る為の第一歩を踏み出したときには荒野しかなく、護衛の冒険者も数を雇ったが、街道整備を終えた道は、馬車の車輪との相性もよく、馬も快適に進む。
街道警備の兵士もいるので、冒険者の護衛も一チーム居れば事足りる。
時折兵の詰め所で休憩を取りながら、予定通り昼前には村に辿り着いた。
村の前ではギルド員が揃って出迎えていた。
「ようこそ、ガルディアダンジョンへ」
ガルディアダンジョンギルドのギルマスが頭を下げる。
「早速参られますか? ギルド員の案内役は必要でしょうか?」
「うん、まずは宿をとらないとな。念の為、宿の話だけもう一度聞かせてよ。あとはこっちでどうにでもするからさ」
「……かしこまりました。えー、こちらにあります通り、宿は数種類揃っておりまして――」
早速ダンジョンギルマスが、営業スマイル浮かべて説明を始めた隙に、護衛についてきたギルマスがそっと彼の部下に指示を出す。
「おい、誰か人を出して、ダンジョン内の客らに改めて注意と警告をして来い。一応係員の魔物にもな。そっちはどれほど効果があるかは知らないが、後で責任追求されない様、情報提供して来るんだ」
「は、はいっ!」
ニコニコ微笑みながら、ここのギルマスも必死に説明を、そうと悟られないよう最新の注意を払いながら、話を長引かせている。
「よし、それじゃ、待ちに待ったお楽しみの時間だ。行くぞお前達」
そのかいあって、坊ちゃんがそう侍従達に言い出す頃には何とかアナウンスも行き渡っていた。
……それでも問題起こすような奴は自業自得、むしろ坊ちゃんが余計な事を言い出す前にこちらで始末をつけるつもりであった。
そして。
ついに王孫子様の足が、ダンジョンの洞窟内に入った――。
ダンジョン到着前夜。
一行が寄ったのは、ギルマスのホームである、ダンジョン村手前の旗艦ギルドのある街だった。
「明日には馬車にてダンジョン村へとお送り致します。朝イチで出発すれば、昼前には村へ到着可能でございますが、出発時間はいかほどになさいますかな?」
「うむ。では朝食後、食休めの後出発するとしよう」
「かしこまりました、ではそのように手配させていただきますので、今宵はこちらの宿でごゆるりとお過ごしくださいませ」
そう言って坊ちゃんを宿に放り込んだギルマスは、
「明日行く。ギルマスは数日はギルドに張り付いてろ。そこにいる連中にもきっちり情報を回しとけ」
と早馬を出し、明日の護衛メンバーの最終確認を行う。
痛む胃に手を添えながら、眠れない夜を過ごした翌朝。
ついに、ダンジョン村への最終行程の第一歩を踏み出す。
かつて村を作る為の第一歩を踏み出したときには荒野しかなく、護衛の冒険者も数を雇ったが、街道整備を終えた道は、馬車の車輪との相性もよく、馬も快適に進む。
街道警備の兵士もいるので、冒険者の護衛も一チーム居れば事足りる。
時折兵の詰め所で休憩を取りながら、予定通り昼前には村に辿り着いた。
村の前ではギルド員が揃って出迎えていた。
「ようこそ、ガルディアダンジョンへ」
ガルディアダンジョンギルドのギルマスが頭を下げる。
「早速参られますか? ギルド員の案内役は必要でしょうか?」
「うん、まずは宿をとらないとな。念の為、宿の話だけもう一度聞かせてよ。あとはこっちでどうにでもするからさ」
「……かしこまりました。えー、こちらにあります通り、宿は数種類揃っておりまして――」
早速ダンジョンギルマスが、営業スマイル浮かべて説明を始めた隙に、護衛についてきたギルマスがそっと彼の部下に指示を出す。
「おい、誰か人を出して、ダンジョン内の客らに改めて注意と警告をして来い。一応係員の魔物にもな。そっちはどれほど効果があるかは知らないが、後で責任追求されない様、情報提供して来るんだ」
「は、はいっ!」
ニコニコ微笑みながら、ここのギルマスも必死に説明を、そうと悟られないよう最新の注意を払いながら、話を長引かせている。
「よし、それじゃ、待ちに待ったお楽しみの時間だ。行くぞお前達」
そのかいあって、坊ちゃんがそう侍従達に言い出す頃には何とかアナウンスも行き渡っていた。
……それでも問題起こすような奴は自業自得、むしろ坊ちゃんが余計な事を言い出す前にこちらで始末をつけるつもりであった。
そして。
ついに王孫子様の足が、ダンジョンの洞窟内に入った――。
0
お気に入りに追加
55
あなたにおすすめの小説
どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ
ボケ猫
ファンタジー
日々、異世界などの妄想をする、アラフォーのテツ。
ある日突然、この世界のシステムが、魔法やレベルのある世界へと変化。
夢にまで見たシステムに大喜びのテツ。
そんな中、アラフォーのおっさんがレベルを上げながら家族とともに新しい世界を生きていく。
そして、世界変化の一因であろう異世界人の転移者との出会い。
新しい世界で、新たな出会い、関係を構築していこうとする物語・・・のはず・・。
いらないスキル買い取ります!スキル「買取」で異世界最強!
町島航太
ファンタジー
ひょんな事から異世界に召喚された木村哲郎は、救世主として期待されたが、手に入れたスキルはまさかの「買取」。
ハズレと看做され、城を追い出された哲郎だったが、スキル「買取」は他人のスキルを買い取れるという優れ物であった。
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
異世界で神様に農園を任されました! 野菜に果物を育てて動物飼って気ままにスローライフで世界を救います。
彩世幻夜
恋愛
エルフの様な超絶美形の神様アグリが管理する異世界、その神界に迷い人として異世界転移してしまった、OLユリ。
壊れかけの世界で、何も無い神界で農園を作って欲しいとお願いされ、野菜に果物を育てて料理に励む。
もふもふ達を飼い、ノアの箱舟の様に神様に保護されたアグリの世界の住人たちと恋愛したり友情を育みながら、スローライフを楽しむ。
これはそんな平穏(……?)な日常の物語。
2021/02/27 完結
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
ハズれギフトの追放冒険者、ワケありハーレムと荷物を運んで国を取る! #ハズワケ!
寝る犬
ファンタジー
【第3回HJ小説大賞後期「ノベルアップ+」部門 最終選考作品】
「ハズワケ!」あらすじ。
ギフト名【運び屋】。
ハズレギフトの烙印を押された主人公は、最高位のパーティをクビになった。
その上悪い噂を流されて、ギルド全員から村八分にされてしまう。
しかし彼のギフトには、使い方次第で無限の可能性があった。
けが人を運んだり、モンスターをリュックに詰めたり、一夜で城を建てたりとやりたい放題。
仲間になったロリっ子、ねこみみ何でもありの可愛い女の子たちと一緒に、ギフトを活かして、デリバリーからモンスター討伐、はては他国との戦争、世界を救う冒険まで、様々な荷物を運ぶ旅が今始まる。
※ハーレムの女の子が合流するまで、マジメで自己肯定感の低い主人公の一人称はちょい暗めです。
※明るい女の子たちが重い空気を吹き飛ばしてゆく様をお楽しみください(笑)
※タイトルの画像は「東雲いづる」先生に描いていただきました。
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる