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第七章 元凶様がやって来た

村が、出来た

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 最近ダンジョンの洞窟のすぐ外に、村が出来たらしい。

 ダンジョンの入り口を囲うように宿や飲食店が並び、更にそれを囲う塀と堀が、村を魔物から守っている。

 近隣の町や村とこの村を繋ぐ馬車も走っている、と。

 最近どっと増えたお客さんに聞いた。

 お陰でダンジョンは大盛況なのだけど。

 こうなると更なるリゾート開発が課題となってくる。

 こうなって初めて、春秋夏冬年に4回以上期間限定メニュー考える外食チェーンって凄いなぁと感心してみたり。

 いや、それでも飲食店のメニュー改変くらいはそんなに大変でもないんだけど。

 「いい加減、そろそろネタ切れかな……」

 異世界で、というワードで儲けておいて何だけど、今はそこがネックになっていた。

 だってもう世界遺産とか自然遺産的な物しか浮かばないんだよね、観光資源でやつをさ。

 そしてそんな概念なんて無いらしいこの世界の住人に、日本の古い寺や神社、富士山なんか見せて……喜ぶか?
 富士山撮って喜んでた外国人はよく見たけど、あれは世界遺産の看板があるからだよね?

 桜や紅葉もそうだけど。

 「キャンプ場なんて作ってもなぁ……」

 外の村だが、どうもそもそもはウチの安宿代すらケチった人らが外でテントなんか張りだしたのがきっかけらしいから……。

 流石に魔物の居る荒野で素人が、何て事はこの世界でも特殊なんだと思うけど、ある程度安全が保証された場所や、冒険者らにとって野宿なんてものは、遊びではなく普通に必要だから行う事なんだろう。

 それをいきなりレジャーとして何処まで受け入れられるか。

 ショッピングモール作るのは良いけど、あんまり定期的にしょっちゅう出入りする様な者は雇いたくない。が、モールを作るなら外から店を招かないと……

 「いや、でも商人じゃなくモノ作りの方の人を入れればいけるかな?」

 私の記憶にあるものを再現してくれる人。
 商売人は店員が居ればいいのだから、指導者だけ居れば後はテイムした魔物で問題ないはず。

 あ、そう思えば出来そうな気がしてきたな。

 「よし、また人材を募集しよう」

 ――と。
 新たな、そして私にとっては根源的な驚異が迫りつつあるとは思いもしないまま。
 私は新たな計画に着手した。

 モール計画のために、まず職人の為の管理層を一層増やして。

 今回は人の招致に加え商品アイディアを出して開発を行い、商品にするまでの手間、そして商売や、接客を教えるなど、ショーのアクター程個人の技量に左右されるものではないとはいえ、やはり人材の確保と教育の手間が多くかかる。

 それらが終わるまでに、他の層の娯楽に客が飽きて足が遠のいてしまわない様祈りながら、私は準備に勤しんでいた。
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