ダンジョン・ホテルへようこそ! ダンジョンマスターとリゾート経営に乗り出します!

彩世幻夜

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第五章 進むリゾート計画

難航する職員選び

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 頼んでいた本が届いた!

 ……と。喜び勇んで本を開いたまでは良かったんだよね。

 うん、日本の妖怪を模した様なタイプの魔物はほぼ皆無。
 狸、猫、狐なんかのアニマル系モンスターは無理矢理こじつければ確かにそれっぽいけどさ。

 けど、ショーに出すなら見てくれも多少は考慮しなくちゃね、とか。

 音楽にダンス、演技力……。特殊な能力を条件に絞っていくと、候補がどんどん狭まってしまい……

 全て読んで本を閉じた時には、私は頭を抱えていた。

 「選択肢が多すぎるのも少なすぎるのも困るなんて……!」

 しかし、ここで失敗すればショービジネスなんて全部おじゃんだし。

 私はもう一度図鑑を開き、丁寧に丁寧に候補を絞り込んでいく。

 まずは大雑把に。

 音楽部門。
 セイレーンを始め、歌を得意とする魔物を中心に楽隊を組めそうな魔物を選んでいく。
 セイレーン以外の見てくれはもう気にしないことにした。
 セイレーンはソロコンサートで舞台に立たせ、他は歌舞伎の様に隠しても良い。

 演劇部門。
 演技は後から叩き込むとして、見てくれ優先にした。
 そして脚本はノルンにお願いした。
 ……子供向け舞台はもうキグルミに頼るしかないかな、と。

 サーカス、他
 これは能力優先で選んだ。
 あとは演出次第だろう。……と、思いたい。

 「これ、一度に用意しても訓練が間に合わないよね……」

 私もその手のプロじゃないし、全部受け持ってたら過労死するよ!

 「……まずは全年齢狙ってサーカスから行くか」

 人間がやるサーカスに比べて、演者は魔物、しかもステージはダンジョン内なので、ダメージを受けても復活可。
 地球のより余程気楽に出来るエンターテイメントなんだよね。

 基本の綱渡りに空中ブランコ。玉乗りに……と定番から、火の輪くぐりに火の玉のジャグリングなどの大道芸的な場繋ぎ芸。
 魔法を使ったショーに、ケンタウロスの弓で頭の上のリンゴを射抜くお約束の芸。
 ユニコーン同士の角の突き合いの決闘。

 うん。芸を覚えさせるのはそんなに難しくないのに、お客に見せられる芸に磨き上げるって、今更だけど大変なのねー。

 ショービジネス、一筋縄じゃ行かないわ……!

 「やっぱり、舞台に立つのは魔物でも、演出家なんかはプロに仕事をお願いした方がいいのでは……?」

 演劇部門を任せようと意見を聞いていたノルンからは「脚本の元のお話は書けても、やっぱり脚本はまた別物です……」と言われてしまい。

 私は再び壁にぶち当たってしまった。

 至急求人募集を募る、が……。

 「この世界でその手の仕事に就く奴には大概貴族のスポンサーがついてるぞ? 大丈夫か?」

 ヴォルティスが不吉な事を言った。

 ええ、貴族はもうお腹いっぱいなんだけど!
 
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