ダンジョン・ホテルへようこそ! ダンジョンマスターとリゾート経営に乗り出します!

彩世幻夜

文字の大きさ
上 下
60 / 80
第五章 進むリゾート計画

横暴貴族の末路

しおりを挟む
 「――さて、では話を聞かせてもらいましょうか? ああ、名乗りは結構です。聞かされても私には分かりませんから」

 牢屋の檻の中、鉄格子を両手で掴み、キャンキャン吠えるだけの哀れな負け犬。

 周囲の村の様子を聞くに、彼らが一般庶民とは到底思えない。富裕そうなのは確実で、しかも小隊とはいえ軍を指揮していたなら、相応の身分や役職も持っているのだろう。

 しかし、その惨めな様子は……、必死に自らの生のみに必死になる獣にすら劣る。

 命も大事なんだろうが、そこへの危機感がまだ足りていないのか、自身の金や立場の方が大事と見える。

 それをピシャリと遮り、まずは詰問を開始する。

 「何が目的でこんな事をした」

 「フン、貴様のようなどこの馬の骨とも分からん奴の問になど答えるか! お前達、あとで不敬罪で処刑してやっても良いのだぞ!」

 あぁ、不敬罪なんて言葉が出るならやっぱり貴族階級の奴か。

 その後も問答を続けたけど喚くばかりでまともな情報も引き出せない。

 なら、尋問……と言いたい所なんだけど、私そういうのド素人な訳ですよね。

 なので、可能な人にバトンタッチするのです!

 ただ、その様子をヴォルティスは私に見せたくないらしい。

 「いいか、絶対見るなよ、見るなよ?」

 ……お前は鶴の恩返しの鶴か、それともダチ○ウ倶楽部か。
 お約束として覗くべきかとも思ったけど、今はそんな時じゃないしと自制。

 ヴォルティスが聞き出したところによると。

 連中はやはり貴族だったらしい。それも、このダンジョンがある土地の領主貴族。

 彼らはこのダンジョンの噂を聞きつけ、ここを自分たち専用の保養地にしたかったらしい。

 そこで数日前に、一般人――この場合冒険者も含む者の立ち入りを禁じたらしい。

 そして、ここのスタッフが魔物と言う事も事前に聞いていたが、尊い身分の自分達の世話を魔物にやらせるなんて! ……と、自分達の使用人と総取っ換えすべく、軍隊付きで乗り込んで来たとか。

 「……何て浅はかな。ふふ、リゾートエリアでは確かに安全を謳っているけれど、通常ダンジョンではそうではないもの。ダンジョンに慣れない方が間違えて通常ダンジョンに入ってしまう事もあるかもしれないわね?」

 このダンジョンに不利益しか齎さない者達。

 「一応情けで回復だけはしてあげる、ふふっ、どこまで生き残れるかしらね?」

 途中帰還の装置も敢えて停止させ。

 私は彼らを通常ダンジョンへと放り込んだ。

 そして、帰ってきたシンくんには悪いけど、もう一度街に行って噂を広めてもらった。

 リゾートエリアと通常エリアを間違えて入り、ダンジョンで魔物にやられて亡くなったらしい、と。

 お陰で次の週には再びお客の姿が戻ってきたのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

亡霊剣士の肉体強奪リベンジ!~倒した敵の身体を乗っ取って、最強へと到る物語。

円城寺正市
ファンタジー
勇者が行方不明になって数年。 魔物が勢力圏を拡大し、滅亡の危機に瀕する国、ソルブルグ王国。 洞窟の中で目覚めた主人公は、自分が亡霊になっていることに気が付いた。 身動きもとれず、記憶も無い。 ある日、身動きできない彼の前に、ゴブリンの群れに追いかけられてエルフの少女が転がり込んできた。 亡霊を見つけたエルフの少女ミーシャは、死体に乗り移る方法を教え、身体を得た彼は、圧倒的な剣技を披露して、ゴブリンの群れを撃退した。 そして、「旅の目的は言えない」というミーシャに同行することになった亡霊は、次々に倒した敵の身体に乗り換えながら、復讐すべき相手へと辿り着く。 ※この作品は「小説家になろう」からの転載です。

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

オカン公爵令嬢はオヤジを探す

清水柚木
ファンタジー
 フォルトゥーナ王国の唯一の後継者、アダルベルト・フォルトゥーナ・ミケーレは落馬して、前世の記憶を取り戻した。  ハイスペックな王太子として転生し、喜んだのも束の間、転生した世界が乙女ゲームの「愛する貴方と見る黄昏」だと気付く。  そして自身が攻略対象である王子だったと言うことも。    ヒロインとの恋愛なんて冗談じゃない!、とゲームシナリオから抜け出そうとしたところ、前世の母であるオカンと再会。  オカンに振り回されながら、シナリオから抜け出そうと頑張るアダルベルト王子。  オカンにこき使われながら、オヤジ探しを頑張るアダルベルト王子。  あげく魔王までもが復活すると言う。  そんな彼に幸せは訪れるのか?   これは最初から最後まで、オカンに振り回される可哀想なイケメン王子の物語。 ※ 「第15回ファンタジー小説大賞」用に過去に書いたものを修正しながらあげていきます。その為、今月中には完結します。 ※ 追記 今月中に完結しようと思いましたが、修正が追いつかないので、来月初めに完結になると思います。申し訳ありませんが、もう少しお付き合い頂けるとありがたいです。 ※追記 続編を11月から始める予定です。まずは手始めに番外編を書いてみました。よろしくお願いします。

老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜

二階堂吉乃
ファンタジー
 瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。  白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。  後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。  人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

大海サバイバル! チートな船で俺TUEEE な旅を満喫します

彩世幻夜
ファンタジー
突然異世界に転移させられ、神様から与えられたのは一艘の船でした。 無人島&手漕ぎボートから始まる冒険譚が、今ここから始まる―― ※主人公は女です、あしからず! (ボクっ子じゃありません、心と体の性別が違う子でもありませんし、男の娘でもありません! 正しく女性が主人公です!)

処理中です...